インターネットテレビ局「Abema TV」内に開設された「在日特権を許さない市民の会」元会長で、政治団体「日本第一党」党首の桜井誠氏(44)の公式番組チャンネルが、2016年9月21日の初回放送からわずか1日で閉鎖された。
桜井氏のチャンネルに対しては、放送開始前から「即刻放送を中止して下さい」「巨大抗議で会社包囲したって良い」などと反発する動きが一部ユーザーの間で起きていた。
1回だけ放送された「桜井誠のズバリ言ったわよ!!」
桜井氏の番組チャンネルが開設されたのは、個人や団体が動画を生配信できる「FRESH!by AbemaTV」というサービス。チャンネルの開設申請は誰でも無料で行えるが、放送内容などについて運営側の審査が入る。登録チャンネル数は1600以上で、一般ユーザーが個人で配信している番組も多い。
そんな「FRESH!」上に、「桜井誠のズバリ言ったわよ!!」という番組チャンネルが開設された。同サービスの公式ツイッターアカウントは9月21日夕、同日20時から桜井氏のチャンネルでの放送がスタートすると告知。番組については「時事問題を中心に政治、経済、外交など幅広いテーマで語っていきます」と紹介していた。
桜井氏といえば、在日韓国・朝鮮人などへの民族差別的な言動がたびたび物議を醸してきた人物。15年12月に朝鮮学校前で行った演説が「ヘイトスピーチ」にあたるとして、法務省から改善を求める勧告を受けたこともある。16年7月には「外国人への生活保護費支給を停止」などの公約をかかげ都知事選へ出馬。落選したものの、21人の立候補者の中で5番目に多い11万4000票以上を集めた。
そんな桜井氏のチャンネルが開設されたとの告知ツイートを受け、ネット上では一部のユーザーの間で「即刻放送を中止して下さい」などと激しい反発が起きた。こうした「抗議」の影響か、桜井氏の放送を告知するツイートは番組の放送開始前に削除された。
一部で起きた反発の動きは、桜井氏の番組が予定通り放送されたことでさらに「過激化」した。桜井氏によれば、21日の放送は「試験的な内容」。そのため、番組では今後の本放送を告知する内容が目立ったが、ツイッター上では、
「絶対に看過出来ない」
「開設前にある審査でなぜ通した?背景を明らかにするべき」
「巨大抗議で会社包囲したって良いくらい」
といった批判的な書き込みが「C.R.A.C.」(「レイシストをしばき隊」の後継団体)の関係者らを中心に出ていた。
さらには、「Abema TV」に共同出資したサイバーエージェントとテレビ朝日、桜井氏の番組放送中に流れたCMのスポンサー企業などへの「電凸」(電話突撃)を促す投稿も複数あった。
「AbemaTVの判断で昨日9月22日に閉鎖いたしました」
その後、桜井氏の番組チャンネルページは22日夜に閉鎖され、現在は「ページがありません」という文章だけが表示される状態に。こうした動きについては、桜井氏自身も同日20時からの動画サービス「ツイキャス」の生配信で、
「第一回を放送したばかりなんですが、ちょっとヤバい状況になっているそうでございます。(中略)長くは持たんだろうとは思っていたんだけど、まさか1回で終わることになるとは」
と言及。その上で、視聴者に対して「番組が継続できるよう、運営やスポンサー企業にメールを送って」などと呼び掛けていた。また、「Abema TV」側の担当者とは「今(9)月中に話し合うことになっている」とも明かしていた。
初回放送からたった1日でのチャンネル閉鎖という「ドタバタぶり」に、ツイッターやネット掲示板では、
「番組でヘイト発言してから問題視しても遅くないだろうに」
「別にAbemaは悪くないし、言論弾圧になるんじゃないの?」
といった書き込みも出ていた。
「Abema TV」の広報担当者は23日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「桜井氏のチャンネルに関しまして、株式会社AbemaTVの判断で昨日9月22日に閉鎖いたしました」
とコメントした。桜井氏のチャンネルを削除した理由などについても質問したが、そちらに対する回答はなかった。