豊洲新市場のコンクリート製の空間の床下にたまった大量の水について、共産党都議団は2016年9月16日夜、民間検査機関の分析結果を発表した。「地下水とみられる」としたが、さらに抜本的な調査が必要なことも認めている。
共産党は、9月14日に豊洲の青果棟の床下に降りて現地調査し、約2リットルの水を採取した。
ベンゼン、六価クロムは検出されず
その水を民間検査機関に調べてもらい、結果について、16日夜に都議会の共産党控室で会見した。会場には報道陣約50人が集まった。
検査結果によると、4種類の化学物質について調べたが、東京ガスの施設から漏れていたとされるベンゼンやシアン、六価クロムについては検出されなかった。しかし、ヒ素については、1リットル当たり0.004ミリグラム検出されたが、環境基準の0.01ミリグラムには満たなかった。
しかし、共産党は会見で、「ヒ素は雨水に含まれないことから、たまり水は地下水とみられる」とする日本環境学会元会長の畑明郎氏のコメントを紹介した。畑氏は、揮発しにくいヒ素とは違い水が長くたまっている間に、ベンゼンなどは蒸発してしまった可能性があるという見方を示している。
そのうえで、共産党は、検出されたヒ素は、以前ここにあった東京ガスの工場で都市ガスを製造する過程で出てきたものではないかとの見方を示した。
共産党がリトマス試験紙で14日に検査したところ、たまり水は強アルカリ性を示していたが、共産党側は、工場で石炭を燃やしたときの灰の影響の可能性があるとしている。青果棟などを建てる前の07年5月に共産党が地下水を調べたときも、強アルカリ性だったとしている。
ただ、ヒ素は、青果棟の工事の際に紛れ込んだ可能性も否定できず、これだけで地下水と断定するのは難しそうだ。また、強アルカリ性についても、空間を構成するコンクリートが溶けたなどの可能性が専門家から指摘されている。
報道によると、都も13日からたまり水について検査しているが、いまのところベンゼンは検出されず、詳しい結果が出るには、まだ時間がかかる見込みだ。