築地市場の移転先になっている豊洲新市場の一部が、予定されていた盛り土をせずにコンクリートの空間になっていた問題で、空間の床下にたまった水を共産党都議団が調べたところ、強アルカリ性を示したことについて、その原因をめぐり相反する見方が出て論議になっている。
「たまった水は、その大部分が地下水だと思っています。専門家の先生に聞いたところ、以前ここにあった東京ガスの工場で燃やした石炭の灰が影響したのではないかということでした」
肌がただれるくらいの強アルカリ性を示す
共産党都議団副団長の曽根肇都議は、J-CASTニュースの取材に対し、こう明かす。つまり、床下にたまっていたのは、汚染水の可能性があるということだ。
小池百合子知事が2016年9月10日の緊急会見で都がウソをついて盛り土をしていなかったことを明かすと、都議団が次々に現地を視察した。
共産党が7日に続いて14日も現地入りし、民進党も13日、公明党も14日に入った。そして、写真や動画がマスコミに提供され、床下の様子がだんだん分かってきた。
それらを見ると、どこもコンクリートや砕石層の上に茶色い水が広がっている。報道によると、青果棟の床下が最も水が多く、深さが15センチほどにも達していた。また、水産棟は、2センチほどの水がたまっていたという。
共産党都議団が14日に青果棟の床下でリトマス試験紙を水に浸けると、たちまち濃い青色に変色していた。曽根都議によると、PHは12~14で、長時間肌につけるとただれるような強アルカリ性を示す。
東京都は、マスコミ取材に対し、外構工事が終わっていないところがあり、そこから雨水が浸水したのではないかと説明したというが、曽根都議は、こう反論する。
「3ヘクタールもの地下に1000トン単位で水がたまっています。もしこれほど大量の水が浸水したとしたら、建物が欠陥だということになりますよ。8月ごろに台風で大雨が降った後に水がたまり出したと聞いており、地下水位が上がって床下にまで達した可能性があると考えています」
コンクリートそのものが強アルカリ性
共産党都議団では、たまった水を採取して民間の検査機関に出しており、9月16日夕にも詳しい分析結果が出るそうだ。
一方、ツイッターなどを見ると、コンクリートそのものが強アルカリ性であり、水を通せばそうなる、との声が多い。工事で使った石灰の影響もあるのではないかという指摘もあった。
金沢工業大学の露本伊佐男教授(無機材料化学)は、次のようにツイッターで汚染水との見方に疑問を呈した。
「コンクリートブロックを水に浸けておくと,周囲の水はpH 12前後のアルカリ性になる。セメントから水酸化カルシウムが溶けるため。これは土壌汚染とは関係ない。豊洲のビル地下で,たまった水が強アルカリ性になったと青変した試験紙を見せるのは誤解を招く可能性がある」
曽根都議は、「これだけの強アルカリ性は、コンクリだけでは考えにくいと思います。工事の石灰や石灰岩の砕石の影響についてもそうです」と言う。
都でも、水の検査に乗り出していると報じられている。
「強アルカリ性の水」の原因は何なのか。