スタッフに販売のノルマを課していないとうたうピーシーデポコーポレーション(PCデポ)。しかし、同社社員を名乗る人物がツイッターで、「トウゼンカード」というものが存在すると告発した。これがネットで広まると、ノルマ以上に恐ろしいといった反響が起き始めた。
カードは社員1人1人に配られ、タブレットのまとめ販売に成功したり、顧客の契約解除を思い止まらせればチェックを入れ、その数の多さが昇進に影響する、というものだ。
iPhone、iPad、プリンタを毎日まとめて買わせる
PCデポは2016年8月中旬に、高齢者に対し過大なサポート契約を結び、解約の際にも高額を請求していたとして批判を浴びた。その後は元社員、店員と思われる人物からの告発が相次ぎ、客のクレジットカードの不正使用があったとか、サポートサービスの欠点を指摘したら本部から恫喝されたとかいう指摘がなされた。同社はそれらについて否定している。
今回の「トウゼンカード」の告発は、時事通信が16年9月1日にネット配信した野島隆久社長インタビューがきっかけとみられる。高齢者に高額なサポート契約について、野島社長は、「組織ぐるみ」「営業指示」ではなく、「特定の店舗と顧客の間に生じた契約上の問題」と説明する内容だった。野島社長はかねてメディアのインタビューで、ノルマを設けない理由として、ノルマを設ければ必要のない機能のついた高額商品をお客に勧めしてしまったり、とにかく売るために数をこなそうと行動する可能性が出たりするからだ、などと語っていた。同社のホームページを見ると採用欄には、
「スタッフにノルマを課していない」
とある。時事通信のインタビューでは、今回問題になった高齢者に対する販売は、ノルマ達成や、売上至上主義によるものではない、と言いたかったのだろう。
しかし、このインタビューが配信された後の9月3日、PCデポの社員を名乗る人物がツイッターで、「トウゼンカード」なるものの写真をアップし、PCデポの「ノルマはない」という主張を否定し始めたのだ。
アップされた「トウゼンカード」は、店舗従業員のものと、ストアマネージャーの2種類があって、カードにはiPhone、iPad、プリンタなどを毎日まとめて買わせる、解約を思い止まらせる、中学生以下に教育目的のパソコンを買わせる、新規会員を平日2件、土日は4件獲得する、など15以上のチェック項目が記されている。このチェックが多いほど、昇進につながるらしい。「トウゼン」は「当然」という意味らしく、この人物は「客が契約を解除する際に、契約した店舗ではなく解除を申し出た店舗にペナルティーを与えるのはおかしい」などとも主張している。