プロ野球につきものといえば地元での「優勝セール」。百貨店などがしのぎを削って盛り上がるものだが、25年ぶりのリーグ優勝のマジックが灯った広島カープの地元百貨店ではあまりに間隔が空きすぎたため「優勝セールのノウハウがない」などとネットで話題になっている。
地元紙が報じた内容がそう思わせたようだが、面白く思っていないのが地元のサッカーファン。「サンフレッチェ広島」は「J1リーグチャンピオンシップ」など過去に何度も優勝しセールやパレードを行っているのに、広島の優勝で「サンフレッチェ」の過去の優勝が霞んでしまい不憫でならない、というのだ。
「サンフレッチェはもう3回も優勝してるじゃん」
地元紙「中国新聞」は2016年8月29日の朝刊で「優勝セール準備手探り」という記事を掲載した。百貨店では25年前の優勝を知る社員が少なくなっていて、当時を知るOBを訪ね歩いて話を聞き、企画を練ったり、阪神タイガースなど他球団の地元に優勝セールの情報を集めたりしているというのだ。ネット上ではこの情報に、「カープの優勝がいかに想定外だったという現れだ」などと笑いが起きたが、面白くないのが地元のサッカーファン達だ。
「サンフレッチェ広島」は何度も優勝し、セールをしてきた、優勝セールのノウハウなどは当然持っている、という理由からだ。サンフレッチェの優勝が全く忘れ去られているような記事に対し、怒りを覚える人もいて、
「去年サンフレッチェが優勝した時セールとかパレードやってたのに、セールのやり方知らないとか無いわ」
「あんだけ常勝してても居なかった子扱いされるサンフレッチェさんが不憫でならなくてな」
「サンフレッチェはもう3回も優勝してるじゃん。その時のノウハウは?たいした準備やセールしてませんでした。って言ってるもんだよね。注目度とお祭りの規模が違うといえどなんか寂しいよね」
「カープの優勝(未定)とサンフレッチェの優勝で何が違うのか教えて欲しい」
などといった書き込みが掲示板やツイッターに出た。
ちなみにサンフレッチェが昨年優勝した際には、「中国新聞」(15年12月7日付け)も、
「優勝を決めて一夜明けた6日、地元の広島県を中心に、百貨店や家電量販店などが記念セールで熱を帯びた。大勢の買い物客でにぎわい、祝福ムードが広がった」
と報じている。結局は「カープ」と「サンフレッチェ」では人気の次元が違う、ということらしい。
カープとサンフレッチェでは力の入れ方が違う
「カープ」の優勝マジックは16年8月28日現在で13。市民は天気と同じように優勝マジックについて語り、話題は「カープ」一色になっている。地元百貨店の福屋にJ-CASTニュースが16年8月29日に話を聞くと、カープの優勝が見えてきた7月に売り場や物流、広報などの責任者12人によるセールのプロジェクトチームを結成。8月には阪神タイガースの地元百貨店に聞き取り調査をし、会議にかけた。同社広報は、
「古くからカープのスポンサーということもあって熱がある。全社を挙げて応援している」
と力強く語った。同社は「サンフレッチェ」のスポンサーでもあるが、力の入れ方が違うらしい。
広島三越では、
「相対的なファンの数が全然違います。サンフレッチェの優勝セールとはまた違ったものを考案する必要があるのです」
とし、セールに向けて準備は怠れないと話していた。
アルパーク天満屋も25年前の優勝セールに関する情報を集めている。だだし、当時は大量消費の時代であり、顧客の志向も現在とは異なっているため、参考程度のものだと広報は語った。
「街全体の盛り上がりが凄いんです。私どももファンの皆様と一体になり、カープを応援し、優勝した際にはもの凄く盛り上がるセールになるように努力してまいります」