モテモテのファミマ株 人気に伴う実力あるか

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   ファミリーマートの株価が(2016年)8月に入ってぐんぐん上昇し、かつてコンビニ株がはやされた2000年2月に8000円に近付いたころ以来の高水準となった。9月1日付のユニーグループ・ホールディングス(GHD)との経営統合により、上場廃止となるユニーGHD株に代わってファミマ株が日経平均採用銘柄に「昇格」。これに伴って「ファミマ株を組み入れる投資信託などの買いが入る」との思惑から先回りして買われたものだ。ただ、ユニーGHD側のスーパー立て直しなど課題は多く、「株価は上がりすぎ」との声も聞かれる。

   日経平均株価は東証1部に上場する株式の中からトヨタ自動車やNTTなど、日本を代表する225の銘柄を選び、米ニューヨーク株式市場の代表的な指数「ダウ工業株30種平均」に倣った方法で算出している。業種のバランスなどを考慮して定期的に日本経済新聞社が銘柄を入れ替えているほか、今回のユニーGHDのように上場廃止になる銘柄があった場合には、日経平均株価の連続性が保てるような代わりの銘柄を選定している。

  • ファミマ株は2000年2月以来の高水準だという
    ファミマ株は2000年2月以来の高水準だという
  • ファミマ株は2000年2月以来の高水準だという

「通常の銘柄入れ替え以上」の盛り上がり

   日経平均株価は東京株式市場を代表する指数だけに、「インデックスファンド」と呼ばれる市場平均と同じような動きをする運用を目指す投資信託が注視する対象となる。つまり、225銘柄すべてを買い入れている投資信託(225銘柄の一部にとどめる場合もある)なら、日経平均から外された銘柄は必ず売却し、採用された銘柄は必ず買い入れる。このためもともと、日経平均から外れた企業にとっては株価の下落要因、新規採用企業にとっては株価の押し上げ要因となるものではあった。

   ファミマ株の日経平均銘柄への採用が発表されたのは、8月2日の東京株式市場終了後。ファミマ株は経営統合に先立つ8月29日に日経平均銘柄に採用され、投資信託の多くはその前営業日の26日にファミマ株を組み入れる。ちなみに2日のファミマ株の終値は、前日比50円高の6380円。発表を受けた翌3日はやはりファミマ株に買いが集まり、3日の最高値は前日終値比ちょうど1000円(約16%)高の7380円まで跳ね上がった。利益確定売りに押される場面もあったが、3日終値は7080円と7000円台をキープ。その後も右肩上がりの上昇を続け、8月12日の取引時間中に8000円に迫る7930円まで上昇した。12日は金曜日で前日が休日「山の日」のため、夏休み中の取引参加者も多く取引が薄いことも株価の動きを激しくした。

   「ポケモンGO人気に伴う任天堂株急上昇の大商いが落ち着いた後、市場参加者が投資先を物色する中で現れたのがファミマで、通常の銘柄入れ替え以上の盛り上がりだ」(国内系証券)との見方もある。

厳しさ指摘される「ユニーGHDのスーパー事業」

   ただ、株価急伸に実力がついてきているかを疑問視する向きもある。ユニーGHDとの経営統合でサークルKとサンクスがファミマに順次衣替えし、国内コンビニチェーンの規模は単純合算で約1万7000~1万8000店とセブン-イレブン(約1万9000店)に迫る2位に浮上するが、ただ数があればいいというものではないからだ。

   1店当たりの売上高は首位セブンの約66万円に対し、ファミマは約52万円。サークルKサンクスは約43万円にとどまり、採算性がまるで異なる。ユニーGHDは8月9日、既存のファミマと商圏が重なるサークルKとサンクス計約1000店の閉鎖・移転方針を発表したが、「まだ甘い」との見方もある。

   さらに厳しいのはユニーGHDのスーパー事業だ。8月9日、全体の約1割にあたる不採算25店を2019年2月までに閉鎖すると発表したが、こちらも「踏み込み不足」との声が聞かれる。イトーヨーカ堂など同業他社も苦しんでおり、業績不振は業界の構造的な問題だ。立て直しには抜本的な構造改革が欠かせず、ユニーのスーパー事業が全体の足を引っ張るようだとファミマ株の下押し要因にもなりそうだ。

姉妹サイト