2016年7月10日投開票の参院選に向けて報道各社が行った終盤情勢の分析が出そろった。序盤調査では自民、公明の与党の堅調ぶりが明らかになっていたが、終盤でも大きな変動は見られなかった。
だが、これで参院選の結果が見通せたわけではなく、今回の終盤調査の結果を報じる記事でも「投票行動を明らかにしていない人が選挙区で5割、比例区で4割いる。参院選の投票率は下がり続けており、東京都知事選の候補者の動きの報道の方が過熱するなか、今回の参院選で投票所に足を運ぶ人は、さらに減るのか。
過去3回の参院選投票率は「右肩下がり」
各紙の終盤情勢記事では、序盤調査との「差分」について詳しく分析する内容は必ずしも多くはなく、読売新聞が終盤調査の記事で
「序盤調査(6月22、23日)との比較では、自民、民進両党ともに、優勢と当落線上に立っている候補者の合計にほとんど変化はなかった」
と指摘している程度だ(終盤調査に基づく各紙の議席予想は別表のとおり)。そこでカギになりそうなのが投票率の変化だ。一般的に、投票率が高くなると無党派層に有利になるとされるが、過去3回の参院選の投票率を見ると、07年は58.64%、10年は57.92%、13年は52.61%と「右肩下がり」。前回13年は過去3番目に低かった。
朝日新聞の13年参院選の終盤調査では、「必ず投票に行く」と答えた人は10年より3ポイント低い72%だった。読売新聞の13年の終盤調査では、県ごとに投票の意向を聞いており、神奈川県では10年より2ポイント低い66%が投票に「必ず行く」と答えた。総じて世論調査と実際の投票率は連動していることがうかがえる。
今回の参院選では、東京新聞が投票率は50%を切るのではないかと予想するなど、低投票率が選挙結果に影響する可能性がある。
終盤調査では13年と大きな変動うかがえず
16年の終盤調査で「必ず行く」と答えた人は、朝日が71%、読売の全国調査で67%。18歳選挙権導入で調査対象の年齢層が変更されているため、13年と16年の結果を直接比較することは難しいが、数値としては大きな変動はうかがえない。
ただ、期日前投票の利用は大幅に伸びている。総務省の7月4日の発表によると、公示日翌日の6月23日から7月3日までの11日間に656万2239人が選挙区で投票し、13年の参院選の同時期に比べて43.8%増加した。前回と比べて期日前投票所が約500か所増えたほか、公示日が通常よりも1日前倒しになり、集計期間が1日長くなったことも背景にあるとみられる。ただ、期日前投票が便利になったことで、7月10日の投票分を「先食い」している可能性もある。
投票率は天候に大きく左右されるとされる。気象庁の7月8日午前発表の予報によると、10日の東京地方は曇、降水確率30%の予報が出ている。