国土交通省職員を名乗る男女2人がいきなり自宅に直接訪ねてきて、「渇水になった場合でも水を自由に使えるようになる」などと金銭を要求する詐欺未遂が多発している、とし、国交省は2016年7月7日に注意を呼びかけた。
しかし、この詐欺未遂情報は一般からの通報によるもので、実際に行われたものなのかどうか国交省は把握できていない。しかも「犯人」が金銭を要求するために提示した交渉はトンデモなものばかりのため、愉快犯による通報の可能性もある。
7月上旬に全国から9件の通報
J-CASTニュースが国交省大臣官房総務課に16年7月8日に取材したところ、国交省職員を名乗った詐欺未遂と思われる通報は7月4日から始まった。いずれも男女2人がいきなり自宅に訪ねてきてトンデモな交渉を始める、といったもので、7月8日昼までに確認できたものは9件あり、岐阜、三重、愛知、静岡で起きていて、交渉の内容は全て別々なのだそうだ。 どんな交渉内容かと言うと、岐阜県の30代男性宅には、
「岐阜県が渇水になったとしても50万円を払えば水が自由に使えるようになる」
と言いながら訪れた。同じく岐阜県の40代男性宅では、
「10万円払えば、高齢者住宅への入居の斡旋を受けられる」
その他には、台風の進路予想について、
「10万円を払えば今後、100%当たる気象情報をその都度送る」
東京オリンピック・パラリンピック関連では、
「バリアフリーの調査を行っていて、調査に協力してもらえれば大会チケットを特別価格30万円で提供する」
また、どんな仕組みなのかは分からないが、
「10万円を払えば、宅配便の再配達が優先的に扱われる」
というものもあった。
メディアから「愉快犯では?」という質問が
こうした交渉は全て、国交省が管轄する分野になっているわけだが、実際にこんなことを同省がするわけがない。取材に対し担当者は、
「国交省職員を名乗った詐欺未遂事件などこれまで私は聞いたことがないし、思い当たらない」
とし、それだけに驚き早く手立てを講じなければと焦った、と語った。しかし、通報が続々とあり、しかもその交渉内容を知るにつれ、首を捻るようになった、とも。通報の電話は国交省の様々な部署にバラけてきているのだという。電話をかけてきた人も特定されていないという。
「メディアの方々から『愉快犯なのではないか?』という質問を多く受けているのですが、その可能性は否定できません」
と担当者は話した。
それでも、国交省としては今後、地方運輸局、整備局などに情報を提示して注意喚起を図っていく考えなのだという。