小学校で出された「抱っこの宿題」は、本当に「美談」なのか――。親子のスキンシップを増やすため、一部の学校で実施されている「粋な取り組み」の是非をめぐり、ネット上で議論が勃発している。
ツイッターなどに寄せられた意見をみると、「素晴らしい宿題」「感動しました!」などと絶賛する声が目立つ。だが一方で、親のいない子供や虐待児などの存在を背景に、「両親居ない子はどうすんの?」との批判も少なくなく、賛否は大きく分かれている。
「教師のエゴに過ぎない」の声
「抱っこの宿題」の是非が問われることになったのは、小学校に通う娘を持つというネットユーザーが「美談」として紹介した、あるエピソードがきっかけだ。このユーザーは2016年6月6日、
「次女の今日の宿題が、算数ドリルでも漢字練習でもなく『1分間抱っこ』というものだった」
と報告。こうした「宿題」が出た背景には、小学生の頃に母親と死別した担任教師の「(自分は)抱っこしてもらいたくても叶わなかったから、キミたち(編注・生徒)はいっぱい抱っこしてもらいなさい」という思いがあったとも説明した。
この投稿は、9日14時時点で1万回近くリツイート(拡散)されるなど、大きな反響を呼んだ。ツイッターやネット掲示板には、幼い子供を持つ母親を中心に、
「いい先生だな...涙出てきた」
「とても良いお話でした。子供達帰ってきたら、抱きしめたいと思います」
「こういう教師見るとまだ日本大丈夫かもって思えてくる」
といった感動や称賛の声が相次いで寄せられた。その一方で、「両親居ない子はどうすんの?」「公私混同しすぎ」などと、「教師のエゴ」に過ぎないと批判する声も出ており、賛否は大きく分かれている。
その後、話題はこのエピソードから徐々に離れ、「親子の抱っこを宿題にすること」自体の是非をめぐる議論に発展した。ネット上では、「学校行事やら宿題やらで家庭に愛情表現強いるのはなんか違う」「家庭に踏み込み過ぎ」といった意見が飛び交っている。