裏切られた「傘」無料貸出の善意 「1100本戻らず」に怒りの声VS「普通戻ってこない」

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   電車などで目的地に着いたら雨模様だった。数百円出してビニール傘を買えばいいのだが、傘は自宅に何本もあるからもったいない。そんな時、雨傘の無料貸し出しサービスがあればどんなにいいだろうと思うのは人の常だが、その貸し出しサービス、傘を返す人が少なすぎて存亡の危機なのだという。

   函館市では北海道新幹線が開業した2016年3月26日から、函館市のロゴマーク入りの新品のビニール傘の無料貸し出しを始めたところ、1500本用意したものが400本にまで減ってしまいストックはゼロ。1100本が戻されないままなのだ。関係者は、こうした状況が続くなら、サービスが立ちいかなくなると嘆いている。

  • 傘を借りて返さない人が多いのはなぜなのか?(写真はイメージ)
    傘を借りて返さない人が多いのはなぜなのか?(写真はイメージ)
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鎌ケ谷市での返却率は2~3割

   函館市や市の商工会議所などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構にJ-CASTニュースが6月7日、取材したところ、1000本用意した傘が約1か月後に100本になった。5月中旬に500本を追加したものの、現在は約400本になり在庫はゼロになった。1本400円のビニール傘で、傘の内側に手作業で市のマークが入った直径15センチの丸いシールを貼っている。28本入る傘のラックを設置しているのはJRの駅や空港、バス案内所など6か所。返却はどのラックでもいいのだが、特にJRの駅に置いた傘がすぐに無くなってしまう。

「黙っていても戻ってこない、ということで駅の近くの宿泊施設に声を掛けたところ、13本出てきました」

と担当者は説明した。観光客へのサービスとして始めているが基本的には誰でも利用が可能なため、市民の利用も結構あるという。傘が無くなれば単純に傘を買って置けばいい、というわけではないため、観光客が利用する施設に協力を求めたり、市民に返却してもらえるよう呼びかけたりしなければならない、としている。こうした状況が続く場合はスポンサーを募ることも検討しているが、最悪の場合は立ち行かなくなる可能性もあると頭を抱えている。

   借りた傘を返さない人が多いという問題を抱えているのは、実は函館市だけではない。千葉県鎌ケ谷市は14年10月から市民らに無料で貸し出す「鎌傘事業」を始めている。J-CASTニュースが16年6月7日、鎌ケ谷市に取材すると、この傘は乗客が置き忘れて持ち主が分からなくなったものを北総鉄道から提供してもらい、駅や図書館など9か所に15本ずつ置いていて、市民には好評だが、

「返却率は2~3割という状態が続いています」

と担当者は打ち明けた。

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