自分の親を『友達のように』下の名前で呼ぶ子供を、あなたは許せますか――。2016年5月23日放送の情報番組「バイキング」(フジテレビ系)が視聴者へ投げかけたこんな質問が、いまネット上で波紋を広げている。
実際、ツイッターなどに寄せられた投稿をみると、親のことを「下の名前」で呼ぶと自ら明かしている若者が数多く見つかる。母親のことは「○○ちゃん」、父親のことは「××くん」といった具合だ。なかには、「仲が良いから」という理由から、親を「呼び捨て」にしているとの声もあった。
親を名前で呼ぶ理由は「なんとなくノリで」?
「親の呼び方」をめぐる話題は、番組で放送された『今どき教育&子育てマナー 許せる?許せない?』というタイトルの特集で取り上げられた。ゲストは、2児の母であるタレントの木下優樹菜さんと、「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹さん。
番組では、時代とともに変わる親子関係の形について、「許せる」「許せない」の2択で視聴者アンケートを実施。その投票を呼びかけつつ、司会の坂上忍さんら番組出演者がスタジオで議論を交わす、といった内容だ。
そこで取り上げられたのが、最近の若者は「自分の親を友達のように下の名前で呼んでいる」というテーマ。実際に、番組が渋谷・原宿の若者200人を対象に調査したところ、全体の13%が「親を友達のように呼んでいる」と回答。具体的には、
「(母親のことを)まきちゃんって呼んでます」
「友達みたいな関係性なので、ちゃん付けです」
といった声が出ていた。下の名前で呼ぶ理由については、「なんとなくノリで」という回答が最多だった。以下、「親しみを込めて」「親に求められて」と続いた。
こうしたVTRが放送されると、坂上さんは「おかしいでしょ、親なんだから」と一喝。「呼び捨てで呼んでいる子供の方より、親の方に問題がある」とも指摘した。尾木さんも、「親の方が悪い。子供はちゃんとしつけなきゃ」と批判的な立場をとった。
その一方で、木下さんは「人前では絶対ダメだと思う」としつつも、「(親と子が)話しやすい環境を作るため、娘と親友みたいな感じで話すこともある」。3歳の娘と2人きりで話す際には、呼び捨てで話した方が「腹を割った会話ができる」との持論を展開した。
教育評論家「親子の立場を意識できるような呼び方をすべき」
視聴者アンケートの結果は、「許せる」が30%、「許せない」が70%。この数字がスタジオで発表されると、坂上さんは「(許せる人が)3割もいるんだ」と驚いた様子。一方の木下さんは、苦笑を浮かべつつ首を傾けていた。
番組が投げかけた今回の問題について、ツイッターやネット掲示板には、
「親は親だよ、友達じゃない」
「自分の親を名前で呼ぶなんて恥ずかしすぎる」
「親と子は適度に線引きしとかないと気持ち悪い」
などと、「許せない派」からの批判的な投稿が相次いだ。
その一方で、実際に親を下の名前で呼んでいるという「許せる」派の若者からは、「親と仲良かったら全然ありちゃうん?」「(親のことは)名前を呼び捨てするのが一番呼びやすい」との声も出ていた。
こうした親子間の「呼び方」の問題について、教育評論家の松本肇(はじめ)氏は5月24日のJ-CASTニュースの取材に、
「外に出て他人と接するようになれば、年齢による上下関係は必ずつきまといます。子どもが目上の人に失礼な態度を取らないためにも、親と子の立場をしっかりと意識できるような呼び方をするべき」
として、「『お父さん・お母さん』『パパ・ママ』と呼ぶルールにしておく方が無難でしょう」と答えた。