長野県・諏訪大社の6年(数えで7年)に1度の行われる奇祭「御柱(おんばしら)祭」で、氏子の男性(41)が高さ約15メートルの大木の最上部から転落死した。この祭りは毎回のように死者が出ているとして、弁護士2人 が北島和孝宮司に対する業務上過失致死容疑での告発状を長野県警諏訪署に2016年5月13日付けで提出したことがわかった。
「生命を軽視し犠牲にするのは許されない」という理由だが、遊園地や民間企業が行うイベントとは異なる神事であり、部外者が告発するのではなく参加した当事者に任せるべきではないか、などといった意見も出て、論議になっている。
諏訪大社「告発状に関する何の通知も来ていない」
死亡事故が起きたのは16年5月5日の大木を垂直に立てる「建て御柱」でのこと。報道によれば諏訪大社上社の本宮の境内に建てられた高さ17メートルほどの御柱に登っていた氏子の男性の命綱が外れ、高さ15メートルの木の上部から転落。下に置いてあった重機に激突した。命綱は付けていたものの、本来はありえない不安定な部分に掛けられていたため、途中で外れてしまい転落したのだという。
祭りの死亡事故は1968年以降、74年、86年、92年、2010年と祭の度に起きている。10年は5月8日の「建て御柱」の最中に氏子3人が柱から落下して2人が死亡した。柱を支えるワイヤが切れ乗っていた氏子がバランスを崩したためだが、なぜかこの3人は命綱を付けていなかったという。
16年5月5日に起きた死亡事故に対し、茨城県と東京都の2人の弁護士は、神社側が適切な安全措置をしていなかったからだ、などとして長野県警諏訪署に北島和孝宮司に対する業務上過失致死容疑の告発状を16年5月13日付けで提出した。「生命を軽視し犠牲にすることが許されるものではない」などという理由からだ。
J-CASTニュースは16年5月27日、諏訪大社にこの告発をどう思うかを問い合わせたところ、
「こちらには告発状に関する何の通知も来ていないため、内容が分からず何も答えられない状況です」
と語った。