2020年東京五輪にまつわる不祥事、疑惑はとどまることを知らない。ついに招致の不正疑惑まで飛び出した。このままでは「呪われる五輪」となってしまう。
直近の疑惑は、招致活動で日本側が支払ったコンサルト料である。その額、2億3000万円という。支払った先はシンガポールのブラック・タイディングス社なのだが、現在は所在が分からない。ますます不信感が募る状況にあり、東京の五輪関係者の表情は暗い。
コンサルタント料問題
「私が契約書にサインした」
こう語ったのは、当時の招致委員会の理事長だった竹田恒和氏。現在、日本オリンピック委員会(JOC)の会長である。2016年5月23日、報道を受けてのことだった。
これまで国会で疑惑に答えていたが、当初のあいまい答弁から、とうとう自身が支払い契約書に署名したことを認めたのである。ひどいことに相手の会社と会ったことがないというのだ。
コンサルタント料は、開催決定の投票に影響のあるIOC委員に、迂回してワイロを渡したのではないか、とも疑われているわけで、ファンからすれば不気味な話としかいいようがない。
それでなくとも東京五輪にまつわる不祥事は多すぎる。ロゴ決定のやり直しに始まり、新国立競技場の費用と聖火台の問題、かかる費用のいい加減さ...と気分の悪い話ばかり。
「東京五輪など、辞めてしまえ」
こういう声が一般の人たちから上がっているのは当然だろう。選手たちも意気が上がらないかも知れない。
すっきりした気持ちで開催できるように
東京都民は今、やりきれない思いである。五輪のお粗末事件だけでなく、舛添知事の政治資金の使い方も絡んでうんざりしている。
「知事が疑惑のまま、リオ五輪(ブラジル)に行って引き継ぎをするのか。恥の上塗りだ」
こんな怒りの声もあるのが現状だ。
招致疑惑は調査委員会、知事疑惑は第三者に、そろって放り投げている。他人の金と無責任のセットである。当事者が自分で分かりそうなものなのに、とまた怒りたくなる。
大統領が職務停止となったブラジルの五輪開催の影響を心配するどころではないのが今の東京である。
現実は東京五輪をやめることはない。なにがなんでも、税金をありったけ使っても開催する。力ずくで4年後に向かっていく。それならば、すっきりした気持ちで開催できるように、東京都も政府も五輪関係者も手を打たなくてはならない。しっかりしろ、と言いたい。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)