2016年5月26、27日に三重県志摩市で開かれる「伊勢志摩サミット」を前に、早くも東京地下鉄(東京メトロ)が、他社と相互乗り入れする駅を除く、すべての駅でゴミ箱を撤去するなど、テロへの警戒を強めている。
2005年に地下鉄などが爆破されたロンドン同時爆破テロのように、これまでもサミット(英グレンイーグルズ・サミット)を狙ったテロ事件は起こっている。世界的にイスラム過激派などによるテロ事件も続発しており、伊勢から遠く離れた首都圏でもテロ対策が目に見えて強化されている。このままだと2020年の東京五輪の厳戒態勢はどうなるのか。インターネットでは、4年後の厳戒ぶりを予想する声も広まっている。
「爆発物が仕かけられる恐れがある」
東京メトロのゴミ箱の撤去やコインロッカーの封鎖は、伊勢志摩サミットの開催にあわせて、警察庁などからの要請に応えたもの。東京都内の地下鉄の駅では、爆発物が仕かけられる恐れがあるとして、ゴミ箱や主要駅など140か所にあるコインロッカーを、2016年5月15日夜からサミットが終わる27日まで、一時的に使えないようにした。
各駅の駅員がホームなどにあるゴミ箱を取り外して移動させたほか、駅構内のコインロッカーには「サミット期間中、ロッカーを封鎖します」と書かれた貼り紙を掲示。東京メトロは、「コインロッカーは使用中でないかをきちんと確かめたうえで封鎖していますので、荷物が取り残されて出せなくなるようなことはありません」という。不審者や不審物がないか、駅員や警備員による巡回も強化した。
東京メトロは、「テロ対策や警備強化に対して(警察庁などから)協力依頼があれば、当社の取り決めに基づいて適切に対応するように努めています」と説明している。
一方、JR東日本も、利用客の多いターミナル駅などの主要駅や新幹線の停車駅などの一部で5月25~27日の3日間、ゴミ箱やコインロッカーの使用を停止する。使用停止の対象となる駅は「首都圏だけではない」という。また、新幹線や一部の在来線特急などに備え付けてあるゴミ箱も26、27日の両日使えないようにする。
JR東海のゴミ箱は、在来線の名古屋と金山(いずれも愛知県)、三重県の桑名と四日市、津、伊勢市、鳥羽の各駅が対象。駅係員の目が届くゴミ箱を除き、20日~27日まで封鎖する。対象外の駅と、東海道新幹線の駅ホームにあるゴミ箱はサミット期間中も利用できる。
コインロッカーは、新幹線の東京、新横浜、名古屋、京都を対象に23~27日(預入の停止を含む)に封鎖。在来線は桑名、津、伊勢市の各駅で20~27日まで封鎖する。また、京都駅の「携帯品一時預かりサービス」も23~27日まで預け入れを停止する。
JR西日本でも、主要駅に設置しているゴミ箱の一部を撤去、コインロッカーの使用を停止している。