萩生田官房副長官「世界陸上招致コンサル請け負った『大変実績のある会社』」
金額はガーディアン紙と司法当局の声明とで異なっているが、招致プロセスの公正さに疑問を投げかけるという点では共通している。一方の日本政府は、一連の支出は正当だったと主張している。萩生田光一官房副長官は5月13日午後の記者会見で、
「スポーツ庁の報告によると、招致委員会では招致計画づくり、プレゼンの指導、国際渉外のアドバイスや、実際のロビー活動、情報分析など多岐にわたる招致活動について、当時、複数の会社と業務委託あるいはコンサルタント契約を行っており、今回報道されている招致委員会からの支払いは、そのうちのひとつであることが確認できた」
などと説明。支払いが賄賂にあたるとの見方を否定した。
「本件は正式な業務委託に基づく対価として支払ったものであり、疑惑を持たれるようなものではないと思っている」
支払先については、
「組織委員会によれば、契約した代理店は、2015年の北京国際陸上の招致のコンサルタントなどを請け負った、大変実績のある会社であり、かつ、アジアや中東の情報分析のエキスパートであったことから、依頼を行ったものと聞いている」
などと述べ、固有名詞への言及には避けた。
一連の問題について国際オリンピック委員会(IOC)から日本オリンピック委員会(JOC)に問い合わせがあり、JOCはすでに回答済みだと萩生田氏は説明している。
一方、ガーディアン紙は、シンガポールの秘密口座は
「スイスに本拠地がある電通スポーツの子会社、『アスリート・マネジメント・サービス』(AMS社)でコンサルタントをしているイアン・タン・トン・ハン氏が所有している」
と報じた。これに対し、電通広報部はAMS社について
「多数ある取引先のひとつで、子会社でもなく、出資もしていない」
などと関連を否定。そのため、一部で指摘されている「イアン・タン・トン・ハン氏が電通のコンサルタント」だとする説も全面否定し、
「現時点でフランス当局から捜査や調査依頼などコンタクトされたという事実もない」
などと説明した。電通は子会社「電通スポーツ」を英国、米国、シンガポールに持っているが、ガーディアン紙がどの法人を意図して報じているかは明らかではない。日本国内には「電通スポーツ」という法人はなく、電通のスポーツ局がスポーツに関する業務を担当している。