軽自動車の燃費データ不正などで、一度は急落した三菱自動車工業の株価。別の車種でもデータを実測していないことも明らかになり、先行きに不透明感が漂うなか、突然、日産自動車との資本業務提携が浮上し、株価はストップ高となった。
さらなる下落を見越して空売りを掛けていた投資家らは、ネット上に「怨嗟の声」を寄せている。掲示板サイトは「最高額損失になりそう」「破産しちまう」といった悲痛な声で溢れた。
投資家の焦り「最高額損失になりそう」
「流石に頭が真っ白でしょ」――。空売りに走った人々へ、ツイッターでこんな言葉が投げかけられている。三菱自動車株は、不正が発表された2016年4月20日以降、急落した。発表前は約850円前後だったものが、約1週間後には一時412円前後まで下がった。
「このまま下がり続ける」と踏んだ一部の投資家は、空売りをやめなかった。5月11日には、すでに不正が報告された4車種以外の9車種もデータを実測していない可能性がある、と公表された。
しかし、11日深夜から12日未明に飛び出した日産自動車の巨額増資報道により、情勢はガラッと風向きが変わる。三菱自動車株は、11日もじわじわと上がっていたが、12日午前の東京株式市場は買い注文が殺到。11日の終値は495円だったが、12日10時を過ぎて買い気配のままストップ高の575円(前日終値比80円高)で推移し、そのまま取引を終えた。日産自動車の傘下で経営再建が進むことへの期待感が反映されたようだ。
こうした動きにより、空売りを続けていた投資家は「大損」する可能性が高くなった。空売りとは、証券会社から株を借りて売り、その株が値下がりした時に買い戻して利益を得る方法だ。
投資家が集まる掲示板サイトに、
「だめだー!破産しちまう」
「最高額損失になりそう」
「樹海ってどう行けばいいんですか」
「本気で焦っとる」
といった声が相次いでいる。そんな投資家を「売り豚」などと呼んで煽るユーザーも現れ、まさに「阿鼻叫喚」となった。
専門家「もはやマネーゲーム」
この先、三菱自動車株の価格はどう推移するのか。ある個人投資家はJ-CASTニュースの取材に対し、
「これより下がることは考えられません。今までの推移を見ると、三菱自動車株は最高値で2400円前後、最安値でも400円前後です。日産との提携が決まりましたので、余程のことがない限り下がらないでしょう」
と予測する。
そして明日、16年5月13日の取引については
「売りと買いの攻防が繰り広げられるでしょう。もはや『マネーゲーム』といった趣ですが......。朝は100円高で寄り付き、終値は50円〜80円高に落ち着く。個人的にそう予測しています。それか、連続ストップ高となるかもしれません」
と見る。
12日、日産のカルロス・ゴーン社長兼CEOと三菱自動車の益子修会長兼CEOは横浜市で記者会見し、両社が戦略的アライアンスを締結したと発表した。日産は三菱自動車の発行済み株式34%を2370億円で取得し、同社の筆頭株主となる。
日産は、新規発行される5億660万株の三菱自動車株を、1株当たり468円52銭で取得する予定。この価格は前日終値よりも5.3%低い水準となる。株式の取得は、16年末までに全ての手続きが完了する見込み。