東京都品川区立中学2年の女子生徒2人が電車に飛び込み死亡したと報じられ、ネット上では、2人を悼む声が相次いでいる。同時に、何が死に急がせたのかと、戸惑いも広がっている。
線路にスニーカーや通学用かばんも残されて...。飛び込んだ現場は、何とも痛ましいものだった。
メモに「人間関係の悩みがある。死にたい」
各社の報道などによると、ともに13歳の女子生徒は2016年5月9日夜、品川区内の東急大井町線・荏原町駅のホーム端まで行き、そこから上りの急行電車に飛び込んだ。目撃情報では、手をつないでいたという。警視庁では、自殺の可能性が高いとみている。
2人は、中学の同級生で、同じ演劇部に所属していた。通学に電車を使っておらず、この日は、普段通りに登校し、部活動を終えた後に駅に向かったらしい。飛び込んだときは、制服姿だった。
かばんの中からは、2人が手書きしたメモがそれぞれ見つかった。A4サイズ数枚にびっしり書かれており、「人間関係の悩みがある。死にたい」といった内容だったという。いじめの話は書かれていなかったとも報じられている。
テレビ取材に応じた、うち1人の母親(42)によると、娘は、毎日部活に励んでおり、「今度は、こういう役をするんだ」とうれしそうに話していた。前日までのゴールデンウィーク中も、家族でボウリングに行くなど楽しそうにしていたという。飛び込んだ当日朝も、元気よく「行ってきます」と中学に登校していたそうで、母親は、自殺の理由について、「なんでかは、分かんないんですよ」と当惑した様子だった。
ネット上では、「やりきれない気持ちでいっぱい」「2人でどんな話をしていたのか想像すると胸が痛む」「誰か周りで止められる奴はいなかったのか・・・」などと書き込まれている。
品川区教委「警察が捜査しており、こちらでは何も言えません」
警察庁の自殺統計によると、中学生の自殺は、全体の1%に満たないものの、ここ数年は増え続けている。
2011年は71人だったのが、15年には、過去最高の102人までになった。うち男子が70人、女子が32人となっている。特に、夏休み明けの直後に最も自殺者数が多くなり、ゴールデンウィークなど連休明けも自殺者が増える傾向が出ている。
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、ヤフー・ニュースへの寄稿で、統計を分析して、「男子中学生の自殺の動機で最も多いのが学業不振、次が家族からのしつけ、叱責です。女子中学生の場合に最も多い動機は、友人との不和、次が親子関係の不和です」とした。そして、「女子は男子以上に友人や家族との人間関係の問題が大きくなりがちです」と指摘している。
今回の2人の女子生徒にとって、「人間関係の悩み」とは一体何だったのか。
それは、まだ報道などで明らかにされていないが、いじめがあったのかなどについて、品川区教委の指導課では5月10日、「警察が捜査しており、こちらでは何も言えません。捜査に対しては、協力していきたい」と話している。