自転車の女性が車と接触して転倒し、おんぶしていた赤ちゃんが亡くなった事故をめぐり、テレビやネット上で自転車の乗り方が論議になっている。
「赤ちゃんおぶって自転車はないわ」「普通にこけて転倒しただけでも危ない」
東京都の道路交通規則では認められているが...
東京都国分寺市内の府中街道で2016年5月6日に事故が起きると、ネット上では、こんな意見が相次いだ。
報道によると、自転車の女性(33)は、信号機や横断歩道のないところで信号待ちしていた車の間をすり抜けて渡ろうとしたところ、左から来た乗用車と接触した。その弾みで転倒し、おんぶしていた生後7か月の男児が頭を強く打って死亡した。女性も軽いケガをした。
乗用車を運転していた女性(25)は、過失運転致傷の現行犯で警視庁に逮捕され、過失運転死傷の容疑に切り替えて調べが進められている。
このことが報じられると、ネット上では、乗用車の運転者に対して「うわあこれで逮捕かよ」といった同情が書き込まれるなど、赤ちゃんをおんぶしながら自転車を運転していたことについて、様々な意見が相次いだ。
乳幼児をおんぶして自転車に乗ることについては、実は、都の道路交通規則の第10条で認められている。16歳以上の人なら、6歳未満の子供1人を子守バンドなどで背負うことができるというものだ。幼児用座席にも、1~2人を乗せることもできる。
ただ、道交法の第63条の11では、保護者は、13歳未満の子供を自転車に乗せるときは、ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないとある。自転車の女性は、息子にヘルメットを着用させていなかったという。
とはいえ、1歳未満の乳児がヘルメットをするのは現実的ではない。
ヘルメットの対象者は1歳以上から
日テレ系の情報番組「スッキリ!!」では、5月9日朝の放送で、自転車用ヘルメットについて、サイクル用品店の声を紹介した。それによると、乳児用のヘルメットというものは製造されていないといい、ヘルメットの対象者は1歳以上からだというのだ。
また、番組で聞いた専門家は、乳児に数百グラムはあるヘルメットをかぶらせるのは、首の負担になり危険だと指摘していた。そして、もしヘルメットなしでおんぶすれば、事故に遭わなくても、転ぶ可能性があって危険なため、ベビーカーを使うべきだとしていた。
今回の自転車女性は、何か事情があって、ベビーカーを使わず、男児をおぶっていた可能性はある。また、女性は、T字路の側道から府中街道に出ており、右に曲がるときなど自転車で横断してもいい場所ではあった。
しかし、子供の命が最優先であることには変わりがない。
都の交通安全課では、「首がまだ十分に据わらないような赤ちゃんは、普通は親御さんが自転車に乗せないと思います。幼児用座席についても、取っ手を握れるようになるまで乗せるべきではないでしょう」と言っている。