東京メトロで線路のトラブルが原因で運転を見合わせるケースが立て続けに起こっている。銀座線ではポイント部分でレールが割れて約4時間半にわたって一部区間で運転を見合わせた。3日前には、東西線ではレールの亀裂が予想以上に広がり、急きょレールの交換をせざるを得なくなったばかりだ。
銀座線と東西線でトラブルの内容は異なっているが、いずれも平日の営業時間帯の深刻なトラブルが相次いでいることに、東京メトロでは原因を調査するとともに、全線での点検を始めた。
渋谷駅のポイント部分が「スパッと切れた」状態
銀座線のトラブルは2016年5月9日の8時頃に起きた。信号異常を示す警報が出たため原因を調べたところ、渋谷駅構内のポイント部分のレールが断裂した状態だったのが見つかった。東京メトロ広報部の説明によると、「スパッと切れた」ような状態だったという。渋谷駅は銀座線の終点。トラブルが起きたレールは、電車が到着後に浅草方面に折り返すための引き込み線にあり、乗客は乗らない区間だ。
レールには信号制御に必要な電流が流れている。レールが断裂したことで電流が通らなくなり、信号異常の警報が出たとみられる。トラブル発覚直後に全線で運転を見合わせた。8時10分に溜池山王-浅草間で折り返し運転を始め、全線で運行を再開したのは12時40分。約9万9000人の足に影響が出た。4月18日にレールを点検した際は異常はなかったといい、今後原因を調べる。
東陽町駅のレールは「割れかかっている」状態
実はその3日前の5月6日には、東西線でもレールをめぐるトラブルが起きていた。深夜3時30分頃、保守作業員が東陽町駅のレールに長さ15センチにわたる亀裂があるのを発見した。銀座線のように切断されているのではなく、「割れかかっている」ような状態だったといい。その場でレール交換を始めたのでは運行に影響が出るため、レールの下に板を敷くなどの「応急処置」をしたうえで、6日の終電後(7日未明)に交換作業をすることになった。だが、亀裂は予想よりも早く進行し、ラッシュ前にレールの交換が必要だと判断。14時頃からレール交換に着手し、茅場町-葛西間で約2時間15分にわたって運行を見合わせた。この結果、約11万6000人の足に影響が出た。亀裂が入った原因は調査中だ。
東京メトロ広報部によると、こういったレールが割れたりするトラブルは、夜間の検査で年に2~3回発覚する程度。営業運行に影響するケースが連続するのは極めて珍しく、いまのところ原因がわかっていない。東京メトロでは、一連のトラブルを受け、全線でポイント部分の点検を急ぐ考えだ。