ご飯に「油」を混ぜて握った「オイルおにぎり」なる食べ物が、いま主婦層を中心にブームを呼んでいる。人気の理由は、オリーブオイルやココナッツオイルなど、美容や健康に効果があるとされる植物油を手軽に摂取できることにあるようだ。
ツイッターやネット掲示板などには「もっちりしてウマい」「お弁当にピッタリ」といった反響が寄せられる一方で、一部のユーザーからは「ベタベタして手が汚れそう」「無駄なひねり加えなくていい」などと違和感を示す声も出ている。
「カロリー以上の美容、健康効果が期待できる」
2015年末頃からSNSを中心に徐々に人気が高まっている「オイルおにぎり」とは、茶碗1杯分のご飯に、サラダ油やオリーブオイルなどの植物油を小さじ1杯ほど混ぜて握ったもの。「クックパッド」などのレシピ投稿サイトには、16年5月6日現在すでに数百種類以上のメニューが登録されている。
ご飯に油を混ぜるというイメージから、ネット上には「太りそう」「ヘルシー思考の今流行るとは思えない」などの反応も出ているが、人気の理由は「オイルによる健康効果」にあるという。
16年2月に業界初となるオイルおにぎり専門のレシピ本を出版した料理研究家の関口絢子さんは、2月11日に更新したブログで、
「おにぎりだと加熱もないし、本来持つ油の機能が失われずに摂れる」
「カロリー以上の美容、健康効果が期待できると思います」
などとメリットを紹介。美容や健康に効果があるとして女性に人気の「ココナッツオイル」や「えごま油」といった「健康オイル」を、主食の白米に混ぜるだけで手軽に摂取できる点が魅力だと訴えている。
また、米の1粒1粒をオイルでコーティングするため、握ってから時間が経っても「固くならずおいしく食べられる」点も人気を集めている。実際、ツイッターなどには「冷めてももちもち感が続くから、お弁当にピッタリ」「もっちりしてウマい」といった声も出ている。
「おにぎりに決まったルールはありません」
近年では、今回のオイルおにぎりだけでなく、「おにぎらず」や「スティックおにぎり」など、一風変わったおにぎりが人気を博している。こうしたブームに対し、ツイッターやネット掲示板を見ると、
「おにぎりは日本の食文化だよ 大切にしてほしいな」
「おにぎらずだのオイルおにぎりだの、無駄なひねり加えなくていいよ...」
「見た目と楽さだけを追いかけて、伝統無視?」
などと違和感を示す声も一部で見られる。また、オイルおにぎりについては、「ベタベタして手が汚れそう」として、「おにぎりの良さが台無し」と指摘するユーザーも出ていた。
1960年の創業当時から変わらぬ握り方を続けているという東京・大塚のおにぎり店「ぼんご」の担当者は、16年5月6日のJ-CASTニュースの取材に、「おにぎりに決まったルールはありません」と答える。
その上で、
「食べたいものを、おいしく食べるというのが料理ですから、こうしたブームが起こることは、全く悪いことじゃないと思いますよ。」
とも続けた。ただ、担当者は「うちの店では、白米・海苔・塩という創業以来のバランスを崩すつもりはありません」とも付け加えていた。