大手スーパー「ダイエー」の旗艦店で、東京・目黒区にあるダイエー碑文谷店が2016年5月5日、41年の歴史に幕を閉じた。イオンの完全子会社となったことに伴うものだ。
インターネットには、同店を惜しむ声が多く寄せられているが、そうした声に混じって、併設されていた「ドムドムバーガー」の今後を心配する声が急速に高まり、にわかに注目されている。
コロッケバーガーとコーンスープにポテト
「歴代の店長、従業員を代表して御礼申し上げます。この冬にまたお目にかかれることをお待ち申し上げます」――。2016年5月5日21時、ダイエー碑文谷店の福西陵生店長はそう言って、最後の来店客に向けて深々と頭を下げた。
ダイエー碑文谷店は、1975年に「碑文谷ショッパーズプラザ」の名称でオープン。当時のダイエーは売上高で百貨店の三越を抜くなど勢いづいており、同店はその象徴でもあった。 約1万5000平方メートルの店舗面積は地上7階建てで、フードコートや、食品や衣料品などの商品ごとにすべてのフロアを分ける売り場づくりを導入したのも、碑文谷店が日本初だったとされる。
あまり聞きなれないかもしれないが、「ドムドムバーガー」は、そんなダイエーが1970年にオープンした日本で初めてのハンバーガー・チェーン店だ。スーパー「ダイエー」の勢いそのままに、ダイエーやマルエツといったダイエー系列の大型店舗に併設され、店舗網を拡大していった。
もちろん、碑文谷店にも入居していたが、2016年5月5日の閉店よりひと足先の2月に閉店していた。
インターネットには、
「ダイエーの地下のドムドムで安いコロッケバーガーとコーンスープにポテト入れて食うのがオレの高校時代の定番だった」
「ほんとなんでハニーマスタードチキンバーガーやめたんだよ。あれめちゃくちゃ美味かったし、他では食えないのに......」
「もう20年前ぐらいなんだがドムドムでタピオカシェイクってのがあったな~。懐かしいわ、部活帰りにみんなで飲んだの思い出す」
「よくお袋とダイエー行って食べてたなあ。泣けてくるわ」
「ドムドム、それは思い出の場所」
などと、懐かしむ声が多数寄せられている。
ドムドムバーガーを運営するオレンジフードコートによると、「当社のホームページのご意見・ご要望のコーナーにも、『懐かしい』『応援してます!』といった声が多く寄せられています」と話している。
「象」をあしらったロゴマークと赤い看板が「昭和」を連想
とはいえ、インターネットには、
「近所になぁ~い! 知らないィ~!!」
「食べたことないけど、おいしいの?」
といった声も少なくない。
たしかに、「ドムドムバーガー」は東京都内には北区赤羽や練馬区大泉学園、小平市の3か店しかなく、全国的にも69か店(フランチャイズ12か店を含む、2016年2月末現在)にとどまり、「マクドナルド」や「モスバーガー」「ロッテリア」といったチェーン店と比べると、店舗数で見劣る。
1970年のオープン後、しばらくは親会社のダイエーの支えもあって店舗数を増やし、ピーク時には約400か店に伸ばしたが、バブル経済後の低価格競争では苦戦。さらにはダイエーの経営不振で規模縮小を余儀なくされた。
「象」をあしらったロゴマークは「どむぞうくん」と呼ばれ、赤い看板などが「昭和」を感じさせるイメージになっていることもあり、いま一つ垢抜けない印象を若い消費者には与えたようだ。
それでも、ダイエーが2015年にイオンの完全子会社となったため、「ドムドムバーガー」の存続をも危ぶむ声がインターネットには寄せられており、
「ゾウさん可愛いだろ! それがいいんじゃないか!!!」
「マックだのモスだのの争いに巻き込まれず、DOMDOMはマイペースにやってる感じがいいんだよ」
「ドムドムには独自のスタンスを崩さずがんばってほしい」
「まずドムドムってネーミングがかわいい」
といった「応援」の声が少なくない。
ちなみに、ダイエー碑文谷店は2016年3月にグループのイオンリテールに移管され、運営されている。今後は耐震工事を含め、改装したうえで「ダイエー」の屋号を外し、早ければこの冬にも営業を再開する予定。
オレンジフードコートは「決定していることはなにもありません」と話し、イオンリテールも「さまざまなことを検討しているところで、(ドムドムバーガーが入居するかどうかは)まだわかりません」と話している。
ただ、すでにイオンのショッピングセンターなどに切り替わっている旧ダイエーの店舗の中には、ドムドムバーガーが入居している店舗があり、期待できるかもしれない。