熊本地震の被災地を取材していた毎日放送(MBS)の山中真アナウンサー(39)による「弁当ツイート問題」がなかなか収束しない。謝罪文投稿後も批判が相次ぎ、MBS宛てには今も抗議が殺到しているという。
さらにネット上では、4年前の自民党総裁選での安倍晋三陣営の「カツカレー騒動」の火付け役が山中アナ本人だったことが、あらためて注目を集めることになった。
「食料の現地調達は厳禁」「局で持参しろよ」
山中アナは地震発生翌日(2016年4月15日)に被災地入り。現地の様子を取材する中、16日夜に「やっと今日の1食目。食料なかなか手に入りにくいです」として弁当の写真をツイッターに投稿した。
すると「食料の現地調達は厳禁」「局で持参しろよ」といった批判が集中し、ネット上で騒ぎになった。これを受け、山中アナは18日夜に該当ツイートを削除。「被災地のみなさんに不快な思いをさせてしまいました。配慮に欠けた行為で申し訳ありませんでした」と謝罪した。
だが、本人のアカウントには謝罪後も批判的な声が相次ぎ寄せられている。複数の報道によれば、MBSにも19日17時までに400件以上の電話やメールが寄せられたという。
山中アナをめぐっては「安倍首相のカツカレー騒動」との関連も批判の種になっている。
安倍氏が2回目の首相になる前の2012年9月26日、自民党総裁選の決起集会の時に食べた「高級カツカレー」は、当時「庶民感覚がない」としてネット上で批判を集め、ワイドショーや新聞でも取り上げられる騒動になった。この時、最初にカツカレーを紹介したのがMBSの生放送番組「ちちんぷいぷい」(関西地区)であり、その詳細を解説したのが、他でもない山中アナだった。
「あ~~みなさん庶民ですねぇ、3500円以上するそうです!」
山中アナはこの日、同番組の「政治部キャップ」として自民党本部からレポート。「安倍陣営は高級ホテルでカツカレーを食べておりました」とし、「いくらぐらいすると思いますか?」とスタジオに向けてクイズを出題した。
「2000円くらい?」「3000円?」との声が上がると、「あ~~みなさん庶民ですねぇ、3500円以上するそうです!」と種明かしし、
「3500円が普通のカレーだそうで、カツを乗っけると特別オーダーでもっと高くなるそうです」
と話した。直接的に批判する言葉はなかったが、実際より安く見積もった出演者陣を「庶民」と呼び、「もっと」の部分を強調して解説していたことから、視聴者の目には「安倍氏ら自民党関係者の庶民感覚とのズレを批判的に伝えた」と映っていたようだ。
そのためネット上では、今回の弁当ツイート騒動は一種のブーメランとみなされ、「山中真のブーメラン芸」「あの時のカツカレーと今の被災地のお弁当、どっちが大事?」といった声も目立っている。
なお、山中アナが被災地で食べた弁当について、MBS広報部はJ-CASTニュースの取材に「避難所等で被災した方々に支給されていたものではなく、被災せずに通常営業している店舗で社員が購入したもの」と説明。購入店舗は「熊本市内とみられる」という。
同局は「食事をとれない被災者の方が多くいる中で、配慮を欠いた行為。申し訳ない」と話し、再発防止に向けて指導するとしている。
熊本地震の取材では、関西テレビの中継車がガソリンスタンドの列に割り込んだことが問題になったばかり。ネット上では、他にもマスコミ関係者の行動を問題視する「現地報告」に関心が集まっている。こうしたマスコミ全般への不信の象徴として、山中アナに抗議が殺到している面もありそうだ。