東京・秋葉原のゲームセンター「東京レジャーランド秋葉原2号店」のトイレには、「女装客」向けの注意書きが張られている。
「お手洗いの使用は多目的トイレのみとさせて頂きます」――そんな一文は、「女装客は男性トイレも女性トイレも使いづらいのではないか」という店側の判断で生まれた。
当事者には深刻な「女装トイレ問題」
コスプレショップやアニメグッズショップが軒を連ねる秋葉原駅北西エリア。ゲームセンターがあるのは、当該エリアのランドマークとなっている量販店「ドン・キホーテ秋葉原店」が入るビルの6階だ。
平日昼間から人で賑わうゲームセンターのトイレに、他店でなかなか見かけない注意書きが張りだされていた。
「お客様へ 当店では女装されている方のお手洗い使用は多目的トイレのみとさせて頂きます。トラブルを防ぐためご協力お願い致します」
J-CASTニュース記者が2016年4月19日に現地を訪れたところ、確かに、男女用のトイレとは別に多目的トイレが設置されていた。すぐ下の5階はドン・キホーテのコスプレショップで、制服やアニメキャラクターの衣装が陳列されている。
この「女装客」向け注意書きは4月18日頃、あるツイッターユーザーが
「女装トイレ問題のひとつの回答を明示していた。個人的には大賛成」
という感想とともに投稿、拡散された。19日夕現在では、店側に好意的な反応が多い。
一般的に「女装トイレ問題」とは、女装をした男性が女子トイレに入ることで起きる諸問題だ。15年3月、神奈川県職員の男が海老名市内の商業施設にある女子トイレに入り、「建造物侵入」容疑で逮捕された。男は当時、顔に薄くファンデーションを塗り、女性もののブラウスにコートを羽織ったうえ、スカートを履いて女装していたという。
「女子トイレに入る女装客を女性客が敬遠」
今や、女装する男性は珍しくない。岡田将生さんや菅田将暉さんといった人気俳優も映画の中で女装姿を披露した。しかし日常生活に目を転じると、男性トイレにも女性トイレにも入られないという問題が当事者の頭を悩ませている。Q&Aサイトにも「男女どちらのトイレに入るべきか...」といった声が多く寄せられている。「多目的トイレの使用」はそんな問題を解決する1つの方法なのかもしれない。
ゲームセンターの担当者は4月19日、J-CASTニュースの取材にこう話す。
「土地柄、女装を含め、コスプレをされた方が多くご来店されます。女装客がトイレを使うとき、男性トイレも女性トイレも使いづらいのではないか、と判断してこのような注意書きを掲出しました。加えて、女装客が女子トイレに入るのを女性客が敬遠しているように見えた、という理由もあります。今のところ大きなトラブルは起きていません」
注意書きを張りだしたのは数か月前。「女装トイレ問題」を解決したのは、店にたまたま設置されていた多目的トイレだった。なお、担当者によると、系列店には同じ注意書きは張り出されていないという。