「自粛して下さい!」「うるさいって言われてるのになんで飛ばすの?」――。熊本地震後、インターネット上には報道ヘリを問題視する書き込みが溢れている。
ヘリの出す騒音が被災者の不安感を増幅させるだけでなく、生き埋めとなっている人の発する声が届かなくなる、というのがその理由だ。同時にドローンによる代用にも注目が集まっている。
「生き埋めになっている人のSOSがかき消される」
被災地の上空を飛ぶヘリコプターのなかには、人命救助等を行う自衛隊や消防のものもあり、今回、マスコミ用ヘリの騒音がどれほど被災地に悪影響を及ぼしているかは定かではない。
マスコミ各社はヘリコプターの騒音問題が顕在化した阪神・淡路大震災(1995年)以降、騒音性の低い機体を採用したり、高性能なカメラを搭載したりと、対策を講じてきているという。NHKは最大1250倍のズームを備えた超望遠カメラを使用していることで知られる。
日本新聞協会が1997年に改訂した「航空取材要領」にも、ヘリ取材時の安全確保と騒音防止に配慮することが明記されている。また、多数の取材機の飛行が予想される場合は、必要に応じて代表取材・共同取材等を行うことも記されている。
とはいえ、報道ヘリの騒音問題はここ数年のうちにも度々物議を醸してきただけに、ネット上の見方は相変わらず厳しいようだ。2016年4月14日の地震発生後もネット上では、「生き埋めになっている人のSOSがかき消される」として
「報道ヘリは叩き落として良いって法律作ろう?」
「救援ヘリ >>> 報道ヘリ」
「共同ヘリで静かに出来ないの」
と、嫌悪感を露わにするユーザーが後を絶たない。
日テレや国土地理院がドローン動画公開
同時に期待が寄せられているのが、ドローン(小型無人飛行機)による代用だ。
日本テレビは熊本地震に際し、ドローンでカメラが立ち入れない被災現場を撮影。自局番組で映像を流した。報道機関以外では国土地理院が17日、ドローンを使って撮影した被災地3か所の動画を公開した。
ドローンをめぐっては、2015年12月に改正航空法が施行され、飛行禁止空域や定められた方法以外で飛行させる場合は、国土交通省や空港事務所に申請して許可・承認を得ることが必要になった。
国土交通省は16年4月15日、熊本地震の被災地域での飛行に関する注意事項を許可・承認を受けた人向けに公表。同地域においてドローン等を飛行させる場合について、
「消防機関等との調整を行いつつ無人航空機を飛行させる、有人機が付近を飛行している場合には飛行を一時中止するなど、消防機関等の活動の妨げとならないよう十分に注意するお願いいたします」
と求めたが、使用自体は禁止していない。
今回の現地取材などでドローンの活用がどこまで進むのか、注目される。