高校生の訴えでコンビニが1分単位の賃金にしたことについて、埼玉県内の社会保険労務士が、「それならトイレに行くことで減給されてもおかしくない」とコラム記事で指摘したところ、ネット上で批判が相次ぎ、社労士は誤解を与えたと記事を訂正した。
発端となった1分単位の賃金は、埼玉県内の高校生が15分未満の労働を切り捨てていた「サンクス」の店舗と2016年3月15日に労働協約を結んだことで実現した。このことが報じられ、ネット上で大きな反響を集めた。
「訴えた高校生は、成長のチャンスを失った」
この労働協約に対し、「違和感」を表明したのが、社労士の榊裕葵さんだ。コラムサイト「シェアーズカフェ・オンライン」に寄稿した17日の記事で、榊さんはまず、15分未満の早出などを意図的に切り捨てていたのは、労働基準法違反であり、改めさせて当然だと指摘した。
しかし、榊さんは、法律上は1分単位の賃金は正しいとしながらも、次のように疑問を呈した。
「もし、私が今回問題となったコンビニ運営会社の経営者であったならば、本人や労働組合に対して、『1分単位で残業代を支払う労使協定を結ぶのは構わないが、逆にこれからは、トイレに行った時間も水を飲んだ時間も、1分単位で減給しますけど、それでも良いですか?』と問いかけるであろう」
会社もある程度大目に見ている部分もあるのだから、労働者側も、少し広い心を持つべきだと榊さんは言う。
榊さんはまた、1分単位で支払うことになれば、職場内の交流はなくなり、上司や先輩がアドバイスすることもなくなるとした。「本来なら、お金を払ってでも教えを請わなければならないところを、上司や先輩はタダで教えてくれるかもしれないのに、そのチャンスを棒に振ってしまう」「この労働協約を結んだ高校生は、職業人として成長するチャンスを失ってしまったのではないか」などともつづっていた。