レコードチェーン「ディスクユニオン」とCDショップチェーン「タワーレコード」が、ポスターで「対決」しているとしてインターネット上で話題になっている。
前者が握手会チケット付きのCDに疑問を投げかけるようなコピーのポスターを掲示したところ、後者がそれに反論するようなコピーのポスターで応戦した――という文脈なのだが、後者のポスターはネットユーザーの作ったコラージュ画像だった。
「音楽が、握手のオマケで何が悪い」
きっかけは、ある人物が投稿したツイートだった。2016年3月6日、「ディスクユニオン様!!一生付いていきます!!!」とのコメントとともにポスターを撮影した画像を投稿した。
白地のシンプルなポスターで、ディスクユニオンのロゴの下に次のメッセージが記されている。
「音楽は、握手のオマケか。音楽は、手を握るためにあるんじゃない。音楽は、心を震わすためにあるんだ。」
AKB48に代表されるような、好きなアイドルの握手会に参加するため、チケット目当てで何枚も同じCDを購入する人が増えている現状に疑問を投げかけた内容だ。
すると翌7日、今度は別の人物が「タワーレコード様!!一生付いていきます!!!」として1枚のポスター画像を投稿。ディスクユニオンのポスターとそっくりの構図で、
「音楽は、握手のオマケだ。音楽が、握手のオマケで何が悪い。握手だって、心を震わすためにあるんだ。」
と書かれている。ディスクユニオンのメッセージを真っ向から否定する主張で、ロゴの部分には、「NO MUSIC, NO IDOL?」とのコピーがあしらわれていた。
「タワレコが制作したものではございません」
しかし、よく見てみれば、ディスクユニオンのポスター画像とシワや汚れの位置が全く一緒であり、コラージュ画像と分かる。ところが、まとめサイト等がオフィシャルのものとして拡散したこともあり、本物と受け止めるネットユーザーもすくなからずいた。
予期せぬ反響を呼んだことに慌てたのか、コラージュ画像を投稿した人物はその後、ツイートを削除して謝罪した。
他にもいくつかのパロディーポスター画像を投稿していたことや、元画像をそっくりそのまま使用していたことから、「信じる方がいるとは思いませんでした」ともつぶやいていた。
8日にはタワーレコードも騒動に反応。同社の公式ツイッターアカウント「タワーレコードインフォメーション」が
「ツイッターでタワレコのポスターが話題になっているみたいですね...。お気づきの方も多いと思いますが、こちら、タワレコが制作したものではございません。念のため。。」
と投稿し、これを正式に否定した。
9日、J-CASTニュースが同社に取材すると「タワーレコードの制作物ではないとわかっている方も多かったようでしたが、ネット上で話題になっていたため、念のために反応しました」(広報室担当者)とのことだった。
一方、ディスクユニオンは、販売促進担当者が取材に対して「ポスターを掲示していたのは事実ですが、本件についてのコメントは差し控えさせていただきたい」と回答。なお、ポスターは現時点で掲出されていないという。
1枚のパロディー画像が思わぬ波紋を広げた今回の騒動。ネット上では「悪質なコラージュ」「営業妨害」との指摘も出ているが、中には
「タワレコ側の返しはコラ画像で捏造されたものらしいですけど大手がこういうの言っちゃうのわりと好きですね。笑」
「でもワシはやたらお固く熱いユニオンも好きだし 柔軟なタワレコも好きなのだよ」
といった意見もみられた。