錦織発言で高級魚「ノドグロ」枯渇の恐れ 島根県、3月から新たな「禁漁区」

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   高級魚として知られる、人気の「ノドグロ」が、将来獲れなくなる恐れが出てきたため、島根県が資源保護に乗り出した。

   2014年9月、テニスの全米オープンで準優勝した錦織圭選手が帰国後、「ノドグロとかあったら食べたい」と語ったことや、2015年3月の北陸新幹線の開業などで食べ歩きやおみやげの需要が高まった。

  • 人気の「ノドグロ」に、枯渇する恐れが・・・
    人気の「ノドグロ」に、枯渇する恐れが・・・
  • 人気の「ノドグロ」に、枯渇する恐れが・・・

価格も上昇「地元の人の口には入らない」

   「ノドグロ」は、富山や石川、福井の北陸3県から島根県や山口県にかかる日本海側の特産物として有名。アカムツの別名で、口内の後部が黒いことから「ノドグロ」と呼ばれる。「幻の魚」と称されることもある高級魚で、島根県水産技術センターによると、最近の卸売り価格は1箱(12~15匹入り)3万~3万5000円ほど。錦織選手の「食べたい!」発言の前と比べると、「2割程度、値上がりしました」と話す。

   白身魚でありながら脂がのって、くせがないおいしさ。刺身や塩焼き、干物は加工品としては超高級品だ。最近はグルメ番組などでも取り上げられる機会が増え、全国的に認知度がアップした。

   「ノドグロ」ブームについて、島根県は「じつは2000年ごろ、『高級魚ブーム』が起ってきたころから、漁獲量は増加傾向にあります」という。県内のノドグロの水揚げ量は2015年に、前年の117トンから33.3%増え、156トンになった。

   じんわりと火がくすぶっていたところに、錦織選手の発言をきっかけにノドグロの名が一気に広がったことは確かなようだ。

   NHKの「ネットNews Up」(2016年2月22日付)によると、北陸新幹線の開業で石川県金沢市の市場では、ノドグロの干物の売り上げが増加。東京・日本橋にある島根県のアンテナショップでも、錦織選手の発言前に月400枚だったノドグロの干物の販売が、錦織選手の発言から1年半近くたった今でも月900枚と、2倍以上の売れ行きと報じた。

   一方、コンビニエンスストア大手のローソンは2月16日から、下関漁港(山口県)で水揚げされたノドグロを使ったおにぎり「山口のうまい!のどぐろ」を発売。1個258円と「高級おにぎり」であるにもかかわらず、「すでに具材のノドグロがなくなり、今週末(27日)には完売しそうです」と、絶好調という。

   また、島根県浜田市ではノドグロを目当てに、ふるさと納税が急増。市は「地元の浜田港で水揚げすることもあり、(ノドグロは)今のところは確保できています。加工品(干物)ですし、万一のときは境港や、山口県の下関や萩から取り寄せます」と話すが、「全国から買い付けに来ているので、地元の人の口には入らなくなってきましたよ」と、ちょっと残念そうだ。

「産卵前」が漁獲量全体の8割占める

   こうした「ノドグロ」ブームによる漁獲量の増加の結果、ついにノドグロの枯渇が懸念されてきた。

   ノドグロは、4~5月と8~9月に多く獲れる。体長20センチメートルほどの成魚が中心だが、ここ数年は地元・島根県で「メッキン」と呼ばれる、18センチメートル未満の小型のノドグロの漁獲量が増えている。「メッキン」は加工品にも使えるため需要が高く、2015年はノドグロの水揚げ量全体の約8割にものぼった。

   産卵前に獲られてしまうこともあり、このまま放っておくとノドグロが獲れなくなるおそれがあるというわけだ。

   資源保護に乗り出した島根県水産技術センターによると、ノドグロを獲る沖合底引き漁は、毎年6月1日から8月15日までが休漁と決まっている。資源保護を目的とする今回の措置は、この時期を除く期間で、禁漁区を設けることで漁獲量を抑える。

   新たに、「メッキン」が多くいる海域などを禁漁にする取り組みを2015年3月から開始する(規制する期間は5月まで)。「禁漁区は操業しながら、漁獲の実態に応じて設けていきます」と説明する。

   インターネットには、

「まあ、たしかにノドグロうまいな。庶民がやたらと食える魚じゃないけど...」
「そんなに減ったのか? 錦織選手に過剰消費しないようアピールしてもらわないと」
「資源が枯渇する前に、漁協なりで漁獲量の自主規制するしかないと思う」
「ノドグロおいしいけど... でも資源保護は大切。末永く頂くために我慢は必要かな」
「ウナギみたいになったら大変。乱獲防止を!」

   と、ノドグロの保護は「やむなし」といった声が多い。

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