「開けろやコラア!」「待って!」「何で待たなアカンねん、オラア!!」――。2016年2月16日早朝、東京・新宿区の住宅街に怒号が響いた。京都府警の捜査員が窓ガラスをコンクリートブロックで叩き割り、「霊感商法」で詐欺を続けていた容疑者の自宅マンションに突入したのだ。
容疑者は確保されたが、近隣住民から「不審な人物が窓ガラスを割ってアパートに侵入している」という通報を受けた地元警察が駆け付けるなど、現場は騒然となった。一部始終はテレビでも放送され、「強引な突入方法では」との声もネットでは広がっているが、専門家の間では完全に賛否が分かれる。
霊感商法の詐欺容疑者の逮捕劇だった
16日朝6時45分。容疑者の男のマンションを訪れた京都府警の捜査員は、玄関のドアの前で「おはよう」「開けてくれ」などと丁寧に声をかけた。だが、男がドアを開けるのを拒み続けたため、捜査員は「開けろやコラア!」「うるさいやないやろお前エ!!」と声を荒げた。
しかし、男は「開けるから待って」を繰り返すばかり。そこで捜査員は男の部屋がある2階のベランダへよじ登り、窓ガラス越しに再び「開けろや!」と怒鳴りつけた。それでも応じる様子を見せない男に対し、捜査員が両手を抱えるように持ってきたのは巨大な「コンクリートブロック」だった。
捜査員はブロックを勢いよく窓ガラスに叩きつけて穴を開け、割れ残ったガラスを蹴り破って室内へと踏み込んだ。このとき時刻は6時52分。玄関で最初に声をかけてから約7分後のことで、あっという間の突入劇だった。
今回詐欺などの疑いで逮捕されたのは、東京都文京区の開運グッズ販売会社「幸せ工房」の元社員で、自称僧侶の男ら3人。同社が販売していた「開運ネックレス」の購入者に対し、「悪霊が付いているため、除霊が必要」などと電話をかけ、祈祷料として現金を要求していた。振込は5500件以上確認され、被害総額は2億5000万円に上るとみられる。
京都府警は、J-CASTニュースの取材に対し、「14年以前から京都市内など管轄内での被害相談を複数受けていたため、詐欺グループの検挙に向けて捜査を進めていた。事前に警察庁など関係各所に連絡を入れた上で、今回の逮捕劇に至った」としている。