ミクシィが2016年3月期の連結業績予想を上方修正した。1月下旬の発表によると、売上高は前期比82%増の2050億円で、従来予想を200億円上回る。営業利益も71%増の900億円でこちらも従来予想を100億円上回る見通しだ。
業績を見直したのは、2013年10月にサービスを開始したスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」が投入から2年を過ぎても人気に陰りがみえず、課金収入が拡大したからだ。
世界3000万人ユーザー、2期連続で過去最高業績へ
モンストはスマホの画面上で、モンスターを引っ張ってはじきながら、相手モンスターを倒していくというゲームだ。「簡単な操作で誰でも楽しめること、一緒にいる友人と協力する仕組みが特長」(ミクシィ)だ。
国内ではテレビCMなど積極的な広告宣伝も奏功してユーザーを獲得。台湾や米国、韓国、香港、マカオなどへと配信地域を広げており、海外展開にも積極的だ。2015年9月時点での世界の累計ユーザー数は3000万人を突破し、人気は世界規模で拡大している。
純利益は79%増の590億円で従来予想を70億円上回り、ミクシィ決算は2期続けて増収増益、かつ過去最高を更新する見込みとなっている。年間配当も60円増の142円と大幅に増配する。
いまやゲーム人気で業績を拡大して注目されるミクシィだが、元々はSNSでブレークした企業だった。しかし、LINEやFacebookといったライバル勢の台頭によって存在感は低下。それに伴って業績も悪化し、2014年3月期には純損益が2億2700万円の赤字に転落した。一時は会社の存続そのものが懸念されたが、モンストというゲームのヒット一発で状況は一変した。
ミクシィの"復活劇"に対し、ネット上では「モンスト、すげえ」「オワコンだったはずのミクシィを救ったモンスト」「ミクシィの利益がやばい」といったモンストを評価するコメントが並ぶ。
元本業のSNS見る影なく、ゲーム売り上げが9割超
一方で「ゲームの人気がなくなったら危ないね」といった声もあがっている。2015年中間期のセグメント別でみてみると、モンストなどのゲーム事業のエンターテインメント事業が売上高の9割超でSNS事業を大きく上回っている。「ゲームは、はやりすたりもあり、エンターテインメント事業への依存度が高すぎるのは事業リスクでもある」(アナリスト)と"モンスト依存"を不安視する指摘も出ている。ミクシィがゲームを中心にこれからも好調な業績を持続できるか、はたまた新たにどのような事業の柱を打ち立てるか、注目される。