女性社長のCM露出で知られるアパホテルの宿泊料が、春先の週末に都心部のシングル素泊まりで軒並み3万円台を付けて話題になっている。需給を反映した価格設定というが、ネット上では異論も出ている。
アパホテルと言えば、都心でもシングル素泊まりで1万円前後と低価格を売りにして急成長した。それだけに、アパホテルはどうなったのかとの声が相次いでいる。
東横インでは、シングル素泊まりで8000円ほど
アパホテルの公式サイト上で空室検索をすると、3月中旬から4月上旬にかけての土曜日、都心のホテルで軒並み高級ホテル並みの値を付けていた。3月19、26日、4月2日を見ると、例えば、渋谷、新宿歌舞伎町、新橋のホテルでシングル素泊まり禁煙ルームが3万円から3万2000円ほどとなっている。東京23区内では、1万円台のホテルも見られたが、都心の一等地では、ほとんどがそうだった。
試しに、ビジネスホテル大手の東横インで、空室検索をしてみると、新宿歌舞伎町のホテルで、同じ3日でいずれの日も、シングル素泊まり禁煙ルームが8000円ほどだ。ただ、2か月ほど前にもかかわらず、すべて満室になっていた。
これに対し、アパホテルは、いずれの日も部屋数に余裕があった。東横インに比べて、4倍ぐらい宿泊料が高いので、埋まるのに時間がかかっているらしい。
確かに、「爆買い」中国人ら訪日外国人の増加で、東京都心や大阪市内などのホテルは需給がひっ迫している。報道によると、15年は、都心のホテルの稼働率が8割にも達し、特にホテル不足とされる大阪市内は9割にまでなった。
それに伴って、15年は、東京が前年比で平均2000円、大阪が3000円も宿泊料が上がったとも報じられている。とはいえ、多くのビジネスホテルの料金設定を見ると、アパホテルの3万円台というのは、異例のケースのようだ。
「欧米のホテルのように、需要に合わせ価格設定」
報道などでは、ビジネス利用客らから、出張でホテルが取れない、仕方なくネット喫茶に泊まった、といった不満の声が伝えられている。また、これからがシーズンの受験生らも、早めに確保しなければホテルが取れない、ホテル代がかさむ、と弱っている様子だ。
アパホテルの料金設定については、ネット上で、「需要と供給によって価格は決まるもの」と理解を示す声はあるものの、疑問を呈する向きも多い。「客の足元見るような商売したら信用はガタ落ち」「一泊3万とっていいのは、ホテルから一歩も出ずに一日中遊べるような高級ホテルだけ」といった書き込みが相次いでいる。
3万円もの料金設定にした理由について、アパグループ代表の元谷外志雄氏は、週刊誌のインタビューで説明している。
日経ビジネスや週刊現代によると、元谷氏は、欧米のホテルのように、需要の変動に合わせて価格の上げ下げをしていると説明した。もし高いと感じるようであれば、都心から少し離れたホテルを利用すればいいともした。ただ、宿泊料については、定価の1.8倍を上限にしていると言っている。そして、東京五輪などを通じて訪日客増加が期待されるとして、「いずれ、東京都心のホテル料金も、マンハッタン並みに上昇するでしょう」と話した。
アパグループの秘書室では、J-CASTニュースの取材に対し、3~4月に3万円台を付けた理由について、外国人に人気の花見があることや、春休みのレジャーや企業の研修の需要があるからだと説明した。そして、「ホテルによって販売価格の上限は異なっておりますが、3万円台という販売料金については東京都内ホテルでは社内ルールの範囲内になります」と言っている。