「夕張メロン」の偽物売ったら懲役もある 7品目で始まった「GIマーク」とは?

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   「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など7品目が2015年12月、農林水産省の地理的表示(GI)保護制度の第1弾として登録された。

   この制度は同じ産地で生産し、一定の品質基準を満たした農水産品を知的財産として保護するもので、農水省が生産者に品名の使用を認め、他者の不正使用の監視などを行う。地域に根ざす農水産品のブランド化を進めることで、農山漁村の産業振興を図るのが目的だ。

  • 農産物など地域ブランドは商標としては認められてきたが、罰則のある制度はなかった
    農産物など地域ブランドは商標としては認められてきたが、罰則のある制度はなかった
  • 農産物など地域ブランドは商標としては認められてきたが、罰則のある制度はなかった

「地理的表示保護制度」で地域ブランドを守る

   今回登録されたのは、神戸ビーフなどの他に、「あおもりカシス」、「但馬(たじま)牛」(兵庫県)、「八女(やめ)伝統本玉露」(福岡県)、「江戸崎かぼちゃ」(茨城県)、「鹿児島の壺(つぼ)造り黒酢」。いずれも地域に根ざしたブランドとして知られ、品質維持の努力が評価された。農水省は地理的表示法が施行された15年6月以降、50以上の農水産品の生産者団体などから申請を受け、一般や専門家の意見を聞きながら審査を進めてきた。登録された農水産品は専用の「GIマーク」を付けて販売できる。

   農水省がブランドとして地理的表示を認めるのは、地域の自然や伝統を生かした方法で生産、加工された農水産品や食品で、その地域固有の品質や特徴をもつものだ。生産者が申請した生産方法や品質などの基準を満たしている産品に地理的表示(ブランド名)の使用を認める一方、基準を満たさない産品への使用を防止することで、地域ブランドの質の向上と消費者の信用を高める狙いがある。

海外では「アイダホポテト」「トスカーナオリーブオイル」も

   海外では米国の「アイダホ産アイダホポテト」「インディアナ州産牛肉」、欧州連合(EU)の「トスカーナオリーブオイル」などが地理的表示産品として保護されている。国内には地域名と産品が結びついた名称として「草加せんべい」(埼玉県)、「三ケ日みかん」(静岡県)などがあり、地理的表示保護制度の有力候補と目されてきた。

   国内ではこれまで商標制度があり、「松阪牛」など地域にちなんだブランド名が商標として認められるケースはあったが、行政が不正使用を監視する仕組みがなかった。これに対して、地理的表示保護制度は名称やマークを偽って使った場合には懲役や罰金などの罰則規定があり、不正使用の監視によってブランド力を高めることが可能になる。また、地理的表示保護制度は世界貿易機関(WTO)の貿易関連知的所有権(TRIPS)協定に基づき、既にEUやアジアを中心に100か国以上が導入している。このため、日本で登録した産品は海外でもブランドが保護される。

   農水省は地理的表示保護制度で高品質の地域ブランドが増え、消費者の信頼が高まれば、対象産品を使った加工食品や観光農園が生まれるほか、輸出の増加につながるのではないかと期待している。

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