日本観光「爆買い中国人」だけじゃない 欧米からも急増、課題は「民泊」

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   中国を中心に訪日外国人客が激増する中、これまで政府が掲げてきた「2020年までに2000万人」という目標を15年中に達成できる可能性も出てきた。統計を見ると、アジアだけでなく欧米からの観光客もかなり増えているようだ。

   政府は15年11月9日に閣僚や有識者で構成する会議を立ち上げ、新たな目標人数について議論する。一方、深刻化する宿泊施設不足の解決策として政府が推進する「民泊」についても、課題が浮上している。

  • 「日本=富士山」というイメージを持つ外国人観光客も多い
    「日本=富士山」というイメージを持つ外国人観光客も多い
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カナダからも2割、米国からも1割増える

   日本政府観光局(JNTO)の10月21日の発表によると、15年1~9月累計で日本を訪れた外国人観光客は1448万人。すでに1年間に訪れた数として過去最高だった14年の1341万人を上回った。

   9月単独でも前年同月比46.7%増の161万200人で、やはり9月としての過去最高を大幅に更新した。地域別に見ると、最も伸び率が高いのが中国で、前年同月比99.6%増の49万1200人。次が香港の64.9%増で11万5200人だった。ベトナム(46.3%増、1万5600人)、韓国(38.6%増、30万1700人)、台湾(37.2%増、30万2900人)と続いた。

   JNTOの分析によると、中国はクルーズ需要が伸びたほか、皮肉なことに「抗日戦争勝利70周年」で新たに休日が設定されてできた3連休(9月3~5日)を使って日本を訪れた人も多かったようだ。それ以外の地域は、格安航空会社(LCC)の増便や現地でのプロモーション活動が奏功した。

   日本から遠く離れた欧米からの観光客数も、ロシア以外は9月として過去最高を記録した。カナダが最も伸び率が高く、21.8%増の1万7700人が訪れた。人数ベースで最も多かったのは米国で、10.1%増の7万6300人だった。

   11月7日放送の「SmaSTATION!!」(テレビ朝日系)は、日本人も知らない日本国内の「観光地」を訪れる外国人の様子を紹介した。うどんづくりを体験したり、フクロウカフェを楽しんだり、「お手伝いすると宿泊料無料」の宿に泊まったりする観光客は、米国や英国、ベルギー、フランス、カナダと欧米各国からの顔ぶれも多かった。

「民泊仲介サイト」日本からの紹介物件は前年比3倍

   こうした背景には、現地で行ったキャンペーンによる日本訪問への意欲の掘り起こしがあったとみられる。特に米国では8月にサンフランシスコで行われた「J-POP サミット」や、9月の国連総会開催期間中にニューヨークで観光セミナーを開き、安倍晋三首相、元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんやNHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」で有名になったシャーロット・ケイト・フォックスさんが日本の魅力をアピールしたことが大きかったようだ。

   10~11月は日本では紅葉シーズンで、さらに増加が見込めそうだ。

 

   外国人観光客の大幅増で注目されているのが「民泊」だが、トラブルも相次いでいる。11月5日には京都市の住宅街にあるマンションの部屋をめぐり、東京都内の旅行会社顧問ら2人が摘発されている。旅行者から金銭を受け取って繰り返し宿泊させるためには本来は旅館業の営業許可が必要だが、許可を得ていないと言うのがその理由だ。このマンションでは44室中33室が中国人団体客向けに貸し出されており、住民からは(1)旅行会社の担当者が勝手にオートロックを空けて宿泊客を出入りさせる(2)夜中にキャリーケースの騒音がする、といった苦情が出ていた。警察は運営業者らを近く旅館業法違反(無許可営業)容疑で書類送検する方針だ。こういった事例は氷山の一角だとみられる。

   こういった「民泊急増」は米国発の仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」の存在の存在も大きく、日本からの紹介物件は14年比で約3倍の約1万8000件にのぼる。Airbnbの運営会社は、部屋を貸す人に対して法律を守るように求めているが、実際は「現場任せ」で、必ずしも守られていないケースも多いようだ。

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