築10年過ぎて欠陥出なければ「もう安心」 マンション市場冷え込む中で中古見直し

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   横浜市都筑区のマンションで傾きが見つかり、建物を支える杭打ち工事のデータが改ざんされていた問題で、マンション市場の冷え込みを懸念する声が漏れてきた。

   「傾いたマンション」が、三井不動産グループ、三井住友建設、旭化成グループといった名門企業が手がけた物件だっただけに、消費者からは「もう何を信用していいのかわからない」「氷山の一角ではないのか」といった声が聞かれる。

  • 杭打ち偽装問題の発覚後、なぜか中古マンションが注目されている・・・(画像はイメージ)
    杭打ち偽装問題の発覚後、なぜか中古マンションが注目されている・・・(画像はイメージ)
  • 杭打ち偽装問題の発覚後、なぜか中古マンションが注目されている・・・(画像はイメージ)

マンション販売業者、「旭化成建材、かかわっていない」と販売

   不動産経済研究所によると、2015年4~9月の首都圏マンションの契約率は、4月が75.5%、5月71.1%、6月78.7%。7月には83.7%に達したが、8月は74.3%。9月は66.0%と後退しはじめた。

   4~8月は好不調の分岐点とされる「70%」を上回っているが、9月はそれを割り込んだ。1月からみても、70%を割ったのは9月だけだ。

   その原因を、同研究所は「発売の先送り」としているが、不動産関係者の一部には「買い手が販売価格の高騰で、慎重になってきた」との指摘もあり、価格上昇への警戒感を抱く消費者が少なくないことがうかがえる。

   漏れて聞かれるマンション市場の冷え込み懸念の声は、そういった状況に今回の「杭打ち偽装」の問題が追い討ちをかけるとみているようだ。

   一部報道では、「杭がきちんと地盤に届いているかなんて、プロでもなかなか見抜けない」「杭打ち施工のデータをすべて精査するのは無理」などといった建設関係者のコメントもあり、消費者の不信感は募るばかり。同じ横浜市や北海道など、「パークシティLaLa横浜」以外の物件でもデータの改ざんが見つかり、事態はさらに深刻さを増している。

   そうした中で、中古マンションが見直されているとの情報がある。あるマンション仲介業者は、「先週末(2015年10月24日、25日)に、中古マンションを見学した人は予想以上に多かった。ちょっと意外な感じでしたね」と話す。

   もちろん、見学者には慎重さが目立ち、外壁のひび割れやはがれ、サッシの強度や水まわりなどを目視したり、施工業者を確認したりと念入りに話を聞いて帰る見学者は多かったというが、一方でマンション仲介業者らの中には「旭化成建材がかかわっていない物件」であることを強調して販売する向きもあった。

欠陥マンションの場合、ほぼ築10年以内に何らかの症状が現れる

   中古マンションが注目される理由を、ある不動産関係者はこう分析している。「欠陥マンションの場合、ほぼ築10年以内に何らかの症状が現れる傾向にあります。そのため、10年が経過しても、きちんとした物件を選んだほうが確実との考え方はあります」と話す。

   欠陥が発覚すれば、2014年の住友不動産や今回の三井不動産レジデンシャルのケースのように、修繕や建て替えに時間がかかったり、転居を余儀なくされたりと厄介なことばかり。生活が一変してしまうのだから、心情的にも穏やかであるはずがない。

   そんな「面倒なことにはかかわり合いたくないという気持ちが働いているのではないでしょうか」(不動産関係者)とみている。

   ある不動産アナリストも、「今回の件にみられるように、基礎杭の入り方や物件のハードの状況を見極めることはプロでもむずかしいのだから、素人では不可能です。それでも、耐震偽装の問題後に販売業者が売り出し前のマンションの工事現場を見学させたように、中古物件のほうが自分の目で確かめられるという感覚は得られるでしょう」と話し、購入に納得性が得られることはあるようだ。「見てもらう」ことで、物件への安心感が上がるともいう。

   中古マンションであれば、リフォームしても新築で買うより安く済むこともある。ある程度の築年数が経っていても、長く住んでいる人が多ければ、「安心」ということなのかもしれない。

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