「週刊将棋」休刊でわかった将棋界の危機 「参加人口」激減、棋士収入も大幅ダウン

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   将棋界唯一の週刊新聞「週刊将棋」が2016年3月30日号(通巻1652号)をもって休刊することがわかり、将棋ファンの悲しみの声がネット上に広がっている。

   将棋専門の紙媒体は90年代には「将棋ジャーナル」「近代将棋」「将棋マガジン」など賑わいを見せていたが休刊が相次ぎ、これで月刊誌の「将棋世界」「NHK将棋講座」を残すのみとなった。将棋人口がここ10年で激減したためだ。

  • レジャー白書によると将棋参加人口は09年の1270万人に対し13年は670万人に激減した
    レジャー白書によると将棋参加人口は09年の1270万人に対し13年は670万人に激減した
  • レジャー白書によると将棋参加人口は09年の1270万人に対し13年は670万人に激減した

協賛金が集まらず棋士では食えなくなっている

   「週刊将棋」の雨宮知典編集長は15年10月20日に公式ホームページで休刊になることを報告した。理由は、

「事業としての現状、将来性を冷静に検討した結果」

であり、1984年から30年以上も続いてきた「老舗」の幕を閉じなければならない、と謝罪した。ピークは羽生善治名人が史上初の七冠独占を果たした96年頃で、そこから部数が減少し続けたようだ。ネット上では休刊への悲しみの声があがり、

「コンビニでも囲碁だけのところが多いしな 。ついに来るべき時が来たか」
「未だに羽生七冠の記事は取ってある。宝です」
「週刊将棋の順位戦予想は毎年楽しみに読んでたよ。どこかで事業引き継ぎしてくれないかなあ」

などといった書き込みが掲示板に出ている。同紙は棋士の結果や動向だけでなく、アマチュアの動向に関しても詳しく伝えていたため、そうした情報が得にくくなると嘆く人もいた。

   レジャー白書によると15歳以上の「将棋参加人口」は09年の1270万人に対し13年は670万人に激減した。将棋に詳しいジャーナリストによれば、人口の減少はレジャーの多様化に将棋も飲み込まれたためで、特に08年のリーマンショック以降の協賛金の減少が響いているのだという。企業などからの協賛金は「名人戦」などの賞金に充てられ、かつては数千万以上を稼ぐ棋士がざらだった。

   しかし、日本将棋連盟が発表した「2014年獲得賞金・対局料ベスト10」を見ると、1位の羽生善治名人が1億1499万円で、5位の豊島将之七段は2160万円、10位の木村一基八段が1634万円となっている。プロ棋士は約160人、

「協賛金の減少によって、相当上位にいかないと棋士では食えなくなっています。苦しい思いをしてプロになることに夢が持てずに諦める人や、対戦における覇気の低下があります。これではスターは生まれないし、ファンも楽しめなくなっているわけです」

とも説明した。このまま将棋はジリ貧になっていくのだろうか。

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