「新商品のシャワーヘッドは、鉱石のトルマリンの作用で水を通せば殺菌できる」。こんなメーカーのうたい文句を紹介した朝日新聞の記事に、ネット上で疑問や批判の声が相次いでいる。
「殺菌されるはずない」「ダメダメすぎるw」――朝日のサイト上で2015年10月14日に「シャワーヘッド『水通せば殺菌』 福岡のメーカー開発」との見出しで記事がアップされると、ネット上では、こんな声が次々に上がった。
メーカー「シャワーヘッドを通る水を電気分解」
記事では、福岡県のあるメーカーが開発したシャワーヘッドが紹介されている。この商品では、「ヘッドの内部に鉱石の『トルマリン』が組み込まれている。同社によると、通った水が電気分解される」などとして、レジオネラ菌などを殺菌や滅菌するとメーカー側は説明したとしている。ヘッド内では、気泡や衝撃波も発生し、薬剤を使わずに細菌を破壊できるともいう。価格は、税別で8800円となっている。
根拠としては、「財団法人『東京顕微鏡院』の検査でも、殺菌効果があることがわかった」ことが挙げてある。
トルマリンは、「電気石」とも呼ばれ、微弱な電流を発生するともされる。確かに、業界紙では、水を電気分解してマイナスイオンを発生させると浄水器の紹介などで引き合いに出されることはある。殺菌作用があるとの記述も中には見られた。
しかし、国民生活センターでは、マイナスイオンをうたった商品の相談が多いとして、2003年9月5日に注意を呼びかけていた。その効果が科学的にはっきりしないと学識経験者から意見が出たからだ。当時はトルマリンのブレスレットなどが人気を集めており、広告などでうたうマイナスイオンの効果は本当なのかと疑問の声が上がっていた。
この注意喚起は、マイナスイオンによるリフレッシュや疲労回復効果などについてだったが、殺菌効果についても、公的機関などが科学的に立証したケースは見られないようだ。なお、朝日の記事では、マイナスイオンには直接触れていないが、電気分解で発生したマイナスイオンの効果を指していると理解している読者が多いようだ。