「住みたい街」として人気上昇中の神奈川県川崎市の「武蔵小杉」にある超高層マンションで、落下物騒ぎが起っている。
そんななか、超高層マンションの住民らからは、「武蔵小杉」のブランド力やマンションの資産価値の低下を懸念する声が漏れはじめている。
駅から徒歩4分のタワーマンション、6700万円台
いまや「住みたい街」ランキングの総合第5位(SUUMO「住みたい街ランキング2015」調べ)と人気の「武蔵小杉」。かつては工場地帯でマンションもほとんどなかったが、10年にわたる再開発で、駅近くに超高層マンションが建ち、大型商業施設も充実。東急東横線とJR南武線と横須賀線・湘南新宿ラインが行き交い、東京都心や横浜への通勤・通学の利便性も高い。
都市型住居と商業施設、医療をはじめとする生活のための機能がコンパクトに集約する新たな街並みに生まれ変わったことで、「住みやすい」との評判が高まった。しかも、なお超高層マンションの建設計画が目白押しというから、発展途上の期待感も手伝って根強い人気を維持しそうだ。
人気の上昇に伴い、新築の分譲マンションの価格も上昇。駅から徒歩4分のタワーマンションが約55平方メートルで6700万円台という。ただ、徒歩10分圏内であれば、ファミリータイプで5000万円台あたり、広さや設備によっては3000万円台から8000万円台までと幅広く選べる。いずれにしても、東京都心に比べればリーズナブルな価格帯といえ、このあたりも人気の理由かもしれない。
ところが、そんな人気の街の超高層マンションで落下物騒動が起こった。2015年9月24日、タワーマンションを挟んだ市道に、白い皿が落下。27日には、同じ市道沿いにペットボトルが3本落ちてきたと、通行人の男性が警察に通報した。28日午後にはマンションの市道を挟んだ向かいにある商業施設で、ガラス片のようなものと黄色い液体が地面に広がっているのが見つかった。半径250メートル内で、この1週間で少なくとも3件。さらに、7月と8月にも別の高層マンションで空のペットボトルが落ちてきていたというから、合計5件が発生したことになる。
今のところケガ人はいないが、神奈川県警中原署は「危険性が高い」として軽犯罪法違反の疑いで調べている。
事件のあった超高層マンションに住む40代の会社員によると、「セキュリティーが厳しいので、外部の犯行というのは考えにくいかもしれません。正直、驚いています」と話す。
犯人はまだ捕まっておらず、マンションの住人の可能性がないとはいえないし、また複数による犯行の可能性もあるかもしれない。落下物が見つかった市道周辺にはパトカーが24時間常駐。建物内の至る所に「落下物注意」の貼り紙が散見される。