NHK「日曜討論」ツイッターが「炎上」、陳謝 安保法案番組直前に「反対意見って理解しにくい」

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   NHKが日曜朝に放送している「日曜討論」の公式ツイッターアカウントが、2015年9月13日の番組終了後に2回も陳謝するという珍事が起きた。安全保障関連法案をめぐる攻防がヤマ場所を迎える中、「反対意見って理解しにくいのに、賛成意見はすごく頭に入やすい...」(原文ママ)とツイートし、NHKが安保法案に反対する意見を批判していると受け止められて「炎上」。これに加えて、反対派の論者の発言を「『機は熟している』と言い切った」と紹介し、文脈をねじ曲げているとして「火に油」状態になった。

   公式アカウントは、こうした批判は「誤解」だと釈明しているが、そのまま受け取る人は必ずしも多くはないようだ。

  • 問題とされたツイート。安保法案への反対意見が「理解しにくい」と受け止めた人が多かった
    問題とされたツイート。安保法案への反対意見が「理解しにくい」と受け止めた人が多かった
  • 問題とされたツイート。安保法案への反対意見が「理解しにくい」と受け止めた人が多かった

安保法案への反対意見が「理解しにくい」と受け止められる

   政府・与党は、安保関連法案を9月17日にも参院の委員会で採決し、そのまま本会議で可決・成立させることを目指している。

   9月13日の放送では、「どうなる採決 改めて問う 安保法案」と題して、賛成・反対の論者2人ずつが出演した。公式アカウントでは、放送前に「いよいよ採決が迫る(?)安全保障関連法案」と前置きして出演者の名前を列挙。その上で、

「皆さんの意見はどの出演者に最も近いでしょうか。反対意見って理解しにくいのに、賛成意見はすごく頭に入やすい...(原文ママ)。両耳でしっかり聞くぞー」

と書き込んだ。番組が安保関連法案に関する内容だと明示している以上、「反対意見」は文脈上「安保法案に対する反対意見」だと読み取られる可能性が高い。つまり、NHKが安保法案に対する反対意見を「理解しにくい」と批判したかのように受け止めた人も多かったようだ。

「木村氏が採決について『機は熟している』と言い切ったのが印象的でした」

   放送後にツイートした内容も問題視された。番組に出演していた木村草太・首都大学東京准教授の発言について、ツイートでは、

「直後の感想戦が実は非常に面白いことがよくあります。そこでは『主張が重なる部分』も実は多いことなどが互いに確認されたりします。きょうは反対代表としてご出席頂いた木村氏が採決について『機は熟している』と言い切ったのが印象的でした」

と紹介した。この文脈だと、賛成派も反対派も「採決には賛成」という点で「主張が重なる」と指摘しているようにも読める。採決は野党が反対する中で行われるのは確実で、ツイートの読み方によっては木村氏が強行採決を容認しているとも読める。だが、実際の番組の発言は、かなり文脈が違う。木村氏は番組終盤に司会者から「今国会の議論が十分に尽くされているか」について意見を求められ、確かに、

「時機自体は私は熟しているというふうに思う」

と発言している。だが、直後に(1)憲法解釈の専門的なトレーニングを受けた人のほとんどが、法案に違憲な部分があると指摘している(2)世論調査でも違憲を指摘する人が多く、少なくとも今国会では成立させるべきではないという声が多い(3)政府はこれ以上説明する気がなさそう、などと改めて法案を批判した上で、

「これは否決・廃案以外にはない、そういう判断ができる時期に来ていると思う」

と述べている。採決した上で否決すべきだと述べているわけだ。

   公式アカウントは、「反対意見が理解しにくい」というツイートについては、

「自分の意見と違う人の意見は耳に入りにくく、同じ意見だと理解しやすいと言う意味で書いた」

と、あくまで一般論だと釈明。木村氏の発言についても、

「『(採決の)時機は熟している。...否決し廃案にするしかない』と番組で述べています。そのことが印象的でした」

と補足説明し、2つのツイートに対して寄せられた指摘は「誤解」だとした。採決が迫っている状況での失言なだけに、単なる「舌足らず」では済まされないと受け止める向きもあるようだ。

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