安倍晋三首相が出した戦後70年談話をめぐる朝日新聞記者のツイートが議論を呼んでいる。70年談話では「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」という「キーワード」が間接的に盛り込まれる一方で、後の世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」とも主張している。
朝日記者は、加害者でもある日本政府がこういった表現をすることに違和感を示したが、その意見を批判する声がネット上には多い。
会見終盤にツイッターでやり取り
議論のきっかけになっているのは、70年談話の、
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
という部分。謝罪はこれで「打ち止め」にしたいとする安倍首相の意向がにじむ表現だ。
この表現をめぐり、2015年8月14日18時30分ごろ、ツイッターでこんなやり取りがあった。記者会見で安倍首相による談話の読み上げが終わり、記者の質問に答えている頃だ。
「これ、加害した側が言っちゃいけない言葉だよね」
というツイートに、朝日記者が
「そう、そこは加害した側が言うのではなく、被害を受けた側に言ってもらうこと」
と同意したのだ。このやり取りを批判的に受け止める向きも多く、まとめサイト「痛いニュース」に、「朝日死ねよ本当に」「戦争を煽ったアカヒがいうな」といった罵声とともに転載された。
産経・FNN世論調査では「『謝罪』次世代に背負わせぬ」評価する声多数
一連の批判に、朝日記者は、
「うーん、国民一人ひとりが侵略や植民地支配について謝り続ける必要があるなんて僕は全く思ってないし、一言も書いていないんだけどな」
と釈然としない様子だ。「国家(政府)が謝罪する」ことと「国民が謝罪する」ことを混同したまま議論が進んでいる点に違和感があるようだ。
ただ、世論調査では、談話は総じて好意的に受け止められているようだ。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に行った世論調査によると、70年談話を「評価する」と答えた人は57.3%で、「評価しない」の31.1%を大きく上回った。話題になった「謝罪を続ける宿命を~」のくだりも、66.1%が「評価する」と回答している。
産経新聞は談話が発表された翌日の8月15日の紙面(東京本社15版)で1面トップに「『謝罪』次世代に背負わせぬ」と大見出しを取り、リード文で「謝罪の繰り返しに歯止めをかける考えを示した」と、その意義を強調していた。