幼女型ロボットを巡るラブコメディを描いた「のぞえもん」が、漫画雑誌で連載中止となり、様々な憶測が流れている。著作権問題ではないらしいのだが、一体何があったのだろうか。
のぞえもんは、2013年から日本文芸社発行の漫画雑誌「コミックヘヴン」で連載されてきた。著者は、「いじめられっこ」などの漫画も描いている藤崎ひかりさんだ。
「内容に不備があると判断」とだけ理由が記される
さえない高校生のたかしを助けるため、幼女型ロボット「のぞえもん」が未来からやって来る。のぞえもんは、四次元ランドセルから未来のオモチャを出して役立てようとするが...。こうしたストーリーから、ドラえもんのパロディであると分かる。
とはいえ、内容的にはエロ漫画になっており、出すオモチャも「もシモBOX」「せく★ろすリコーダー」といったものだ。ページをめくると、幼女型ロボットの裸が出てくるほか、失禁シーンまでもあるのだ。
漫画の第1巻が6月9日に発売され、その翌日には重版されるほどの人気になった。ところが、日本文芸社では、「内容に不備がある」として数週間で書店から回収措置を取った。すると、ネットオークションでプレミア扱いされ、5000円前後と定価の10倍ほどにもなった。
8月8日発売の「コミックヘヴン」でも、最新話は載せられず、巻末に連載を打ち切るとする謝罪文が掲げられた。そこでも、「内容に不備があると判断」とだけ理由が記されている。
連載中止について、ツイッターなどでは、コミックファンらから残念がる声が相次いでいる。一方で、何が不備とされたのかについて、いくつかの見方が出ている。
発行元の日本文芸社「あくまでも当社の判断」
1つは、ドラえもんをネタにしていることから、著作権問題を指摘されたのではないかということだ。日本文芸社は、ドラえもんのアニメ制作に関わっている広告会社大手「アサツーディ・ケイ」の子会社になっていることから、のぞえもんの回収や連載中止を指示されたのではとの憶測もあった。
もう1つは、幼女型ロボットの裸などの描写が児童ポルノ的な意味で問題視されたのではないかとも言われている。東京都では、5年前に青少年健全育成条例を改正し、児童への性行為を誇張するなどした漫画やアニメを不健全図書に指定して18歳未満への販売を規制している。のぞえもんについても、都の意向が働いたといったうわさも出ているようだ。
アサツーディ・ケイの広報室では、取材に対し、「日本文芸社の経営を尊重しており、特に指示を出したことはありません」と回収や連載中止に関わったことを否定した。どんな不備があったのかは聞いていないとしたが、著作権問題ではないのではないかとの見方を示した。
ドラえもんの漫画を出している小学館でも、日本文芸社に対して何か言ったということはないと広報室が取材に答えた。
東京都の青少年課では、のぞえもんは不健全図書に指定していないとし、指定を検討したかについては言えないとした。
日本文芸社では、「あくまでも当社の判断で、漫画の掲載を止めました。どんな不備があったかについては、お答えしていません」と総務担当者が取材に答えた。