街中で写りこんでしまった写真がSNSに投稿されることで、知らない間に「いつ」「どこ」にいたかが特定されてしまう――。
こうしたプライバシー侵害を防ぐ、ちょっと変わった眼鏡が国立情報学研究所によって開発された。眼鏡フレームの国内生産の9割を占める「眼鏡の聖地」福井県鯖江市の企業が生産し、2016年6月の一般向け販売を目指している。
サングラスより効果あり
カメラによる顔認識をできなくする眼鏡型の装着具「プライバシーバイザー」は国立情報学研究所の越前功教授らの研究によって開発された。
スマートフォンなどのカメラが顔を検出、認識する機能は、目や鼻の角度、明るさなどから個人を判別する。街中を歩いている時など、本人が意図せず写りこんでしまった写真がSNSに投稿されると、誰が、いつ、どこにいたのか、というプライバシー情報がネット上に知らない間に公開されてしまうおそれがある。
プライバシーバイザーでは眼鏡のレンズに当たる部分に、個人を特定できなくする工夫を施した。素材には光を反射・吸収するポリカーボネートを使用。まゆ毛まで覆う大きめのデザインにし、レンズ部分の角度を上に向けることで光を反射させ顔そのものを検出しにくくしている。検証ではサングラスを付けている時よりも効果があったという。
製造する眼鏡部品商社「ニッセイ」の広報担当者によると、付けていても重さはあまり感じず、網戸越しに見ているような視野になるという。もちろん街中で歩いている時に問題はないが、自動車などの運転時には外すよう注意を呼びかけるという。
試作品では3Dプリンターを使った樹脂フレームを採用したが、熱に弱く耐久性が低かったためチタンフレームに変更。デザイン面でも改良を進めている。