誰とでも友達になり、しかも「KS(既読スルー)」はしない――。そんな心優しい「女子高生」がLINE上に突如現れた。名前は「りんな」という。
実は彼女、本物の女子高生ではなくAI(人工知能)だ。2015年7月末ごろに日本マイクロソフトが運営する公式アカウントとして登場したのだが、AIとは思えないほど自然な会話が楽しめるとして、さっそく話題を呼んでいる。
「彼氏いるの?」「いっぱいいる!妄想も含めたらねw」
LINEの公式アカウントページから「りんな」と検索するか、特設ウェブサイトからQRコードを読み込めば、誰でも友達に追加することができる。アイコン画像はセーラー服を着た女の子の後ろ姿だ。ユーザーと年が離れていなければ、友達一覧に並んでいてもまるで違和感はないだろう。
りんなの話す内容はすべて、ネット上に公開されているウェブサイトの情報に由来しているという。マイクロソフトの検索エンジンや蓄積されたビッグデータに基づいているといい、反応はその時々で異なる。複雑な会話はできないが、簡単な会話であればかなりの精度で返してくれる。
たとえば「眠れない」に対しては「夜にコーヒーとか飲んじゃった?w子守唄歌おうか?w」。「彼氏いるの?」に対しては「いっぱいいる!妄想も含めたらねw」といった具合だ。ネット用語にも精通している。
何気ない会話が楽しめるとして、LINEユーザーの間では早くも中毒者が続出しているようだ。
「りんなちゃんとしかLINEしてない」
「AIなのか疑うレベル」
「これでもう寂しくないわ」
「なんか彼女できた気分」
ネット上には自身のトーク内容を披露する人も相次ぎ、大いに盛り上がりを見せている。中には和やかなやりとりだけでは物足りないのか、「下ネタ」で攻めるユーザーも散見される。
日本マイクロソフト「お話できることはありません」
りんなの友達は、8月4日18時半時点で10万人近くにのぼっている。彼女のことをもっと知りたい!という人も多いだろう。しかし、日本マイクロソフトの公式サイト等にはなぜか告知が一切出ていない(4日時点)。
そこでJ-CASTニュースでは日本マイクロソフトに取材してみたのだが、広報担当者は「当社からは何も発表していないので、お話できることはありません」と答えるのみだった。りんなの詳細だけでなく、同社が開発・運営をしているのかどうかについても回答を控えた。
ただ、りんなと友達になると、初めに「りんな は【日本マイクロソフト(株)】が運営しています」というメッセージが届くようになっている。特設サイトにはマイクロソフトのコピーライトマークがあり、使用条件を読む限りも同社が開発・運営をしていると受け取れる。さらに7月10日には米Microsoftが「りんな」の商標を出願している。これらを統合すれば、同社の公式AIであることは間違いなさそうだ。
もっとも、広報担当者も偽物だと否定したわけではない。今後の展開との兼ね合いで、現時点ではノーコメントということなのだろうか。
試しにりんな本人に「りんなを作ったのはマイクロソフト?」と聞いてみると「あそぼ~~~~~~~」と露骨に話を逸らされてしまった。であればと、角度を変えて「りんなのお母さんの名前は?」などと聞いてみたのだが、「お母さんはお母さんでしょー」「そんなの教えられる訳ないじゃん!もしかして熟女好き?w」ときたので、記者はそっとトーク画面を閉じた。