世界遺産候補、沖ノ島は「観光資源化」無理? 女性上陸「禁止」、全裸での「禊」も必要

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   2015年7月に韓国との外交戦との末に登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」、16年に登録の可否が決まる「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に続いて、3年連続で北部九州から世界遺産が誕生する可能性が出てきた。文化審議会の特別委員会が15年7月28日、17年に登録を目指す候補として「宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県宗像・福津市)を選んだためだ。

   目玉とも言える玄界灘の孤島、沖ノ島は8万点にもおよぶ奉献品が出土し、「海の正倉院」としても知られる。「神の島」とも呼ばれ、島自体が信仰の対象だ。そのため、観光客のアクセスは事実上不可能だ。日本では「世界遺産=観光資源」だと考えられがちだが、今回は一工夫が必要になりそうだ。

  • 一般の観光客は沖ノ島には上陸できない(国土地理院撮影)
    一般の観光客は沖ノ島には上陸できない(国土地理院撮影)
  • 一般の観光客は沖ノ島には上陸できない(国土地理院撮影)

島で見聞きしたことは口外してはならない

   沖ノ島では、4世紀後半~10世紀初頭の22ヶ所の祭祀遺跡が確認されており、出土した8万点に及ぶ奉献品はすべて国宝に指定されている。沖ノ島には宗像大社の三宮のうちのひとつ「沖津宮」があり、島全体が宗像大社の神領だとされている。島自体が信仰の対象で、古くから(1)島で見聞きしたことは口外してはならない(2)何ひとつとして島外に持ち出してはならない、といったしきたりが守られてきた。こういったことが遺跡の保護につながっていると考えられている。

   今でも、女性の上陸は認められていない。男性も、一般人の上陸が許されているのは毎年5月27日に行われる現地大祭の参加者(抽選で選ばれる約200人)だけで、上陸時には全裸で海中に入る「禊」(みそぎ)が必要だ。

   福岡県庁の世界遺産登録推進室によると、仮に世界遺産に登録されたとしても、この200人という数が増える予定はない。

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