米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ニュー・ホライズンズ」が地球から約48億キロ離れた冥王星に最接近し、地球に観測データを送り続けている。この歴史的快挙に関係者はもちろん、世界中から喜びの声が寄せられている。
NASAは2015年7月14日、ニュー・ホライズンズが06年1月の打ち上げ後9年半をかけ、冥王星に最接近したと発表した。最接近した時刻は日本時間の14日20時49分。その後、探査機は集中的に観測を行うため地球への電波発信を止めていたが、日本時間の15日9時52分、管制を担当する米ジョンズホプキンス大の応用物理学研究所に再び電波を届けた。この時点で、すでに冥王星を通過していたという。
ディズニーキャラ「プルート」誕生のきっかけ
今まで人類が一度も観測してこなかった星だけに、関係者は探査機より送られてくる画像や観測データに期待している。
また、NASAは13日、6万8000キロ離れた地点から撮影した冥王星の写真を公開。表面のハートマークがネット上で「感動的」と話題にもなった。
そんな冥王星は、1930年、アメリカの天文学者クライド・トンボーが「太陽系9つ目の惑星」として発見した。太陽系の天体で唯一アメリカ人が発見したこともあり、アメリカ国内は盛り上がった。冥王星の英名を名に持つディズニーキャラクター「プルート」(Pluto)は、ちょうどこの年に誕生している。しかし、2006年、太陽系内に同程度の大きさの天体が複数見つかったため「準惑星」に位置付けられ、今に至る。
直径約2380キロ。表面の温度は氷点下233度ほどと推定され、窒素や一酸化炭素、メタンが凍っているとされる。衛星は現在5つ(カロン、ステュクス、ニクス、ケルベロス、ヒドラ)確認されている。その中でも最大規模のカロンは直径約1200キロと、冥王星のおよそ半分もの大きさだ。