スマートフォン用ゲームアプリ「ねこあつめ」のダウンロード数が550万を超えた。日本語版だけの開発にも関わらず、このところダウンロードの3~4割が海外からなのだという。
米CNNも「ねこあつめ」の特集を組むほどの注目ゲームになっている。その面白さとはいったいどんなものなのだろうか。
日本のドラえもん、ハローキティ―に続く人気の「ねこ」?
「本当だ、ねこあつめがCNNでがっつり紹介されてる」。2015年7月8日、国内の「ねこあつめ」愛好家たちは色めきたった。この日に配信された米CNNのウエブ版にはテレビ放送された「ねこあつめ」の特集動画と、それに関する記事がアップされた。アジアの枠を超え世界中に拡散している「中毒アプリ」で、日本語が分からなくても超簡単に楽しめるとし、ゲームのシステムや登場キャラクターの紹介、米国でのファンの「癒される」「楽しい」「アプリを開く時にドキドキする」などといったインタビューが流れた。また日本では、ハローキティ―やドラえもんといった猫の大人気キャラを輩出していて、「ねこあつめ」はそれに次ぐヒットを狙う事になるのではないか、などといった解説もついている。
「ねこあつめ」はどんなゲームなのかというと、ゲーム内の自分の家や庭に猫を呼び寄せ、遊ばせたりくつろがせたりするという内容だ。クッションやネコタワー、こたつ、爪とぎ、エサといったグッズを配置することで、全部で45匹いるネコを誘う。全くネコが来なかったり1匹だけの時もあれば、多数の猫が一度に訪れたりすることもある。めったに現れない侍風のネコや、阪神ファンのネコもいる。プレイヤーはそうしたネコの写真を撮影しストックすることもできるが、他のゲームのように育成したり戦わせたりする要素は一切なく、基本は「画面を眺めて楽しむ」だけだ。プレイヤーはアプリを起動するときにネコが来ているかどうかに一番ドキドキする。ネコを見つけるとその可愛らしさに思わずほっこりする。
リリースを開始したのは14年10月。ゲーム画面写真をツイッターなどのSNSで公開し情報交換する人が増えたことによって知名度が上がり、15年2月末には100万ダウンロードを超えた。6月には一気に400万ダウンロードを突破し、これは海外での人気に火が付いたためだと見られている。リリースしているのはゲームソフトメーカーのヒットポイント(京都市)で、開発者のねこあつめプロジェクトマネージャー高崎豊さんによると、もともとは課金なしで2~3週間でコンプリート出来るネコが好きなプレイヤーに向けた「見て楽しむだけ」のソフトだったのだという。
バージョンアップは続けても操作性は変えない
シンプルな作りのため開発期間も短くて済んだ。しかし、こうした人気は全く予想しておらず、ユーザーからの要望もあり長時間にわたって楽しめるようにバージョンアップを繰り返すことになった。家・庭の模様替えができるようにしたり、ネコが宝物を持ってくるといったイベントを追加したりした。海外で人気が出るとは考えたこともなかったため、CNNから取材依頼が来たときには、何が起こったのか分からなかったという。電話を切った後に「そういえば・・・」と、北米でのダウンロードが増えていることを思い出した、と語っていた。海外での人気については、日本に来ていた外国人が「ねこあつめ」を知り、自国の友人などにSNSで紹介したことがきっかけだったのではないか、海外でもネコ好きが多いからなのではないか、と考えている。今後も「ねこあつめ」のバージョンアップを続け、ネコの新キャラの登場や、イベントなどを追加してゲームに広がりを持たせていくことになるが、
「攻略的な複雑なものは入れるつもりはなく、あくまでシンプルな操作性で楽しんでいただけるゲームを追求して行きたいと思っています」
と高崎さんは話している。