ドイツのボンで開催中のユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会で、2015年7月4日にも世界文化遺産登録が決定するはずだった「明治日本の産業革命遺産」の審議が、5日に先送りされた。
登録に反対する韓国とは、6月21日の外相会談でその主張を一部反映することなどで「合意」できていた、はずだった。
「百済歴史地区」は登録されただけに...
だが、実際には韓国側は、その後も厳しい要求を日本に突きつけ続けていたようだ。1日には杉山晋輔外務審議官が訪韓し交渉に当たったが、3日の「あさチャン!」(TBS系)では、韓国側が依然として各国代表へのネガティブキャンペーンを続けていること、またボンの委員会会場周辺では、韓国系団体がテントを張り反対活動を繰り広げていることが伝えられた。やはり3日付の韓国紙・ハンギョレも、日本の報道を引用しつつ交渉が「最後まで難航」しており、好転しつつあった両国関係悪化につながりかねないとの悲観的見通しを示していた。
主な争点となっているのは、委員会での韓国の動きだ。席上、朝鮮半島出身者の「動員」について主張しようとする韓国と、それを阻止しようとする日本の間で調整が付かないとされる。また韓国紙・朝鮮日報によれば、登録決定文注釈に「強制労働」という言葉を盛り込むか否かも、議論がまとまっていないという。
外相会談以降、登録実現には楽観論が広がっており、しかも韓国が推薦する「百済歴史地区」は無事に登録が決まっただけに、「手のひらを返された」と感じる人も少なくない。
政界からは自民党の佐藤正久参院議員がツイッターで4日、
「『明治の産業革命遺産』の登録に向けての韓国側の妨害を見た多くの日本人は、あの外相合意は何だったのか?韓国への不信感を持ったのではないか?日本の外交団、妨害に負けずに最後まで頑張れ!」
とコメント、地元・九州ブロックを選挙区とする中山成彬元衆院議員はより激しい言葉で、
「6月に韓国外相が突然来日して合意した筈だった。これが韓国のいつものやり口、これまで何度騙されて来たことか。下手な妥協をしてはならない」
と発言している。