「韓国で日本ブーム」本当なのか 専門家は「それはそれ、これはこれ精神」指摘

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   歴史認識などをめぐる日韓の溝は深い一方、韓国国内では日本生まれのマンガや文芸本などが絶大な人気を誇っているという。

   専門家は「ここ10年くらい、韓国国民の間で日本のコンテンツは常に人気だ」「日韓の間に政治的対立はあるが、韓国国民は『それはそれ、これはこれ』という態度で臨んでいる」と分析する。

  • 韓国人は意外と「冷静」…?(画像はイメージ)
    韓国人は意外と「冷静」…?(画像はイメージ)
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村上春樹作品や「ONE PIECE」が人気

   韓国メディア「イーデイリー」が2015年6月25日にネット配信した記事「『日本を正しく知ろう』...講演・出版物がブーム」によると、日韓国交正常化50周年を迎え、韓国では日本関連の講演会や書籍のブームが起きているという。

   記事によると、「日本の中の朝鮮をゆく」(岩波書店)などの著作で知られるユ・ホンジュン明知大教授が14年にソウル市内で講演した際、大勢の聴衆が集まった。ユ教授はその場で「韓国人と日本人は成長期を一緒に過ごした双子の兄弟」などと解説した。

   また、日本の書籍も好調に売れているようだ。岸見一郎さんと古賀史健さんの『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』、東野圭吾さんの小説『仮面山荘殺人事件』などが15年上半期ベストセラーになっているほか、ここ数年間で見ると村上春樹さんや吉本ばななさん、宮部みゆきさんらの作品もランクインしている。コミックでも「ONE PIECE」や「NARUTO--ナルトー」が人気を博しているそうだ。

   こうした流行の背景に、韓国人の「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」という心理があると説明している。「彼を知り~」は兵法の『孫子』の言葉として知られる。

   「日本好きの韓国人」という話題は、過去にも上っている。「嘘つき社会」などと自国を否定し、ことさらに日本好きを強調するネットユーザーが13年ごろ、韓国の掲示板サイトに現れた。ネット上で「イルポン」と呼ばれる彼らは、10代の若者だという見方もあった。

「反日」という言葉では見えないものがある

   実際に今、「日本ブーム」は起きているのだろうか。新潟県立大学大学院の国際地域学研究科教授で、『韓国化する日本、日本化する韓国』(講談社)を上梓した浅羽祐樹さんは、「今に始まった話でなく、ここ10年くらい常に日本のコンテンツはブームになっています」と話す。

   ベストセラー20位のうち5冊ほどは必ず日本の書籍がランクイン、ビールもラーメンも日常生活の中に浸透しているという。ビジネス書も、日本でベストセラーになったものはすぐに翻訳出版されるそうだ。

   ブームを支えているのは「それはそれ、これはこれ」という是々非々の精神だ。「確かに韓国政府はそうした峻別ができていない時もありますが、国民レベルでは違います」とし、「ある国家間に政治的な対立があるということと、両国民がお互いの国のコンテンツを受け入れることは、何の矛盾もなく両立し得ます」と分析した。是々非々の精神は貿易に強く依存する韓国経済の現状を反映したもので、世界市場や第3者の動きを意識するため、自然そうした態度が養われるのだという。

   そして、「『反日』という言葉で何もかもを一緒くたにしてしまいがちな日本人と違い、韓国人はずっと冷静に見ています」と指摘した。

   こうしたコンテンツの人気にからめ、浅羽さんは、日本と韓国は協力しあえるはずだとも話す。「少子高齢化など両国に共通する問題は多いです。足りないところを貶しあうよりは、お互い協力して問題解決の道を探った方が良い」としている。

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