NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、長州藩が攘夷を決行したのが史実にある「アメリカ船」ではなく「フランス船」になっていたとして、ネット上で「間違った知識を広める」などと疑問の声が相次いでいる。
「来たぞ! フランス船じゃ!」。下関の陸上の砲台にいた見張り役がこう声を張り上げる。
安倍首相の意向に配慮したのではと週刊誌報じる
長州藩・久坂玄瑞役の東出昌大さんが関門海峡に船を見つけると、「構わん」「打てー!」と号令をかけ、一斉に砲撃が始まって...。
2015年5月24日夜の第21話「決行の日」では、こんなラストシーンが出てくる。長州藩が攘夷を決行した下関戦争の再現だ。
確かに、下関戦争では、アメリカのほか、イギリス、フランス、オランダも対戦国になっている。しかし、歴史上では、開戦日の1863年5月10日に長州藩が砲撃したのは、「アメリカ船」とされている。長州藩がフランス船を砲撃したのは、この年の5月23日であり、厳密に言えば、攘夷の「決行の日」ではない。
また、ドラマの脚本家3人による小説版「花燃ゆ」の第2巻(NHK出版刊)では、「決行の日」として、長州藩が砲撃したのはアメリカ船と書かれている。それも、台詞が「来たぞ! アメリカ船じゃ!」となっていた。
史実を大切にしてきたように見えるNHK大河ドラマで、なぜこんなことになってしまったのだろうか。
週刊ポストは、6月15日発売号で、この「歴史修正」についての特集を組み、背景には、政治的な思惑があるのではないかという踏み込んだ見方を示した。
安倍晋三首相が安保法制を国会で成立させようとしていることから、日米関係に気を遣う安倍首相にNHKが配慮した可能性があるというのだ。
長州藩のあった山口県は、安倍首相の地元であり、「花燃ゆ」が放送されたのもその意向からではないかという憶測が当初からあった。つまり、今回もNHKがその意向を汲んだ可能性があると、ポストの記事では言っているわけだ。