訪れた取引先で出されるお茶は飲んでいいのか、ダメなのか――こんな議論が数日前からネット上を賑わしている。
社会人ともなれば誰しも一度は直面するシーンだが、一体どう振る舞うべきなのだろうか。専門家は「飲まない方が失礼にあたる」と語る。
気配りができる人はすぐに飲む?
議論のきっかけは2015年5月12日、2ちゃんねるのニュース速報(VIP)板に立てられたスレッド「【悲報】新入社員、取引先で出されたお茶を飲む」だ。
スレッドを立てた本人(スレッド主)はお茶を飲んだ新入社員を注意したのか、「会社出てやったことの意味を教えたら(新入社員が)青ざめてた」と書いている。「やったことの意味」の具体的な内容は明かされていないものの、お茶飲みをビジネスマナー上良くないとする認識が透けて見える。
しかし、返ってきた反応は「めんどくせぇ...」「謎ルール」など批判的なものばかり。その後、各種まとめサイトなどにスレッドが転載された際も、なぜそんなルールがあるのか、守ったところでビジネス上有利になるのか、など否定的な意見が続々寄せられた。中には考えもしなかった、と語る人もいる。
「臨機応変に対応しろ」と言えばそれまでだ。ただ、マニュアルが無い分気になるのか、ネット上ではこれまでもたびたび話題とされていた。
13年5月22日付けマイナビニュースの記事「訪問先で出されたお茶はいつ飲むのがベスト?」では、プロトコールマナーアドバイザーの尾川和世さんが、飲むタイミングを詳しくレクチャーしている。
記事によると、出されたお茶は積極的に飲んだ方が良いようで、「飲まないで帰ってしまうと、相手は何で飲まなかったんだろうなと感じると思いますよ」としている。飲むタイミングは「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに」がマナーだそうだ。
さらに、経営コンサルタント・臼井由妃さんは13年2月に日経BPへ寄せたコラムで、気配りができる人はすぐに飲む、などと指摘している。
口を付けないと...「出したものが飲めないのか」
経営コンサルタントの大関暁夫さんもやはり、飲んだ方が良い、と語る。「常識的にはお茶やコーヒー、お茶菓子など出されたものに手を付けない方が失礼にあたります。懸念材料が増えます」とした。なぜなら相手方に「なぜ」と感じさせたり、気を遣わせてしまったりするからだそうだ。
「家族経営の会社」を例に挙げ、「奥様、娘様などが飲み物を出した場合、もしも口をつけないと『出したものが飲めないのか』ということにもなりかねません」とも話している。
「むしろ口にした後、『美味しいですね』などと感想やお礼を言い、関係を作って行く手掛かりにした方が有意義ですね」
さらに、諸事情で出されたものが口にできない場合も、正直に「ダメなんです」と打ち明ければ失礼にあたらないそうだ。
大関さんいわく「その方がお互い食い違いが起こらなくて良いと思いますよ」。