少子高齢化による人口減少にもかかわらず、アパートの建築が増えている。
その背景には2015年1月から課税対象が大幅に広がった相続税があるが、一方でトラブルも増えているようだ。
転貸しのサブリース 普及で、高齢者が続々オーナーに
相続する財産のうち、非課税枠が縮小された相続税。非課税枠は相続する人数によって変わるが、たとえば子ども2人が相続する場合、これまでは7000万円までの資産が非課税だったが、2015年1月から、それが4200万円を超えると課税されるようになった。
財務省の試算によると、相続税の課税対象となる財産をもつ人の割合は、全国で約4%から6%台に広がるという。
そんな相続税の節税に有効とされる一つが、不動産の有効活用。とくに、「賃貸アパートは節税効果が見込める」とされる。
通常であれば、土地などの評価額は路線価をもとに算出され、そのまま課税されるが、アパートを建てたり、住居の一部を賃貸にしたりすることで相続税の対象となる土地・建物の評価額を大きく減らせる。アパートローンを組めば、相続税がさらに減ることもある。
そんなことから、消費税や相続税の「増税」前の2013年以降、じわじわとアパート建築が増えてきた。国土交通省の新設住宅着工戸数によると、2014年の貸家は1.7%増の36万2191戸。全体の約4割を占めた。
なかでも、最近目立つのが「サブリース」の仕組みを使って勧誘する不動産業者らだ。サブリースとは、転貸しのこと。不動産賃貸では、不動産業者がオーナーから土地・建物などを、転貸しを目的に一括して借り上げて、運営・管理を引き受ける賃貸システムをいう。テレビCMでもおなじみになった、「30年、一括借り上げ」である。
オーナーにとっては、不動産業者が物件を一括管理してくれるので、アパート管理の知識やノウハウがなくても賃貸物件を建築することができ、また部屋を借りる人を探して契約する手間が省け、さらには空室分の家賃収入を保証してもらえるといったメリットが見込める。そのため気軽に、高齢者でもアパート経営が安心してできるということのようだ。