朝日新聞社が運営する動画紹介サイト「eeny(イーニー)」が2015年5月11日、オープンした。ユーチューブやニコニコ動画など大手動画サイトと連携し、「今、一番盛り上がっている動画・生放送」を紹介するキュレーションサービスだとうたっている。
サイトではミュージシャンの公式ビデオやユーチューバーの投稿など、さまざまな動画を取り上げているが、中には一般視聴者が録画、投稿したテレビ番組もあった。いわば違法な動画で、著作権管理上、問題を残している。
ワイドショー転載動画がトップページに
サイト名の「eeny」は英語の数え歌「eeny meeny miny moe(どれにしようかな)」から取ったもの。ディー・エヌ・エー(SHOWROOM)、ニワンゴ(ニコニコ動画、生放送)、Ustream Asia(Ustream)、YouTube(ユーチューブ)の4社から配信を受ける。独自のアルゴリズムを用いて、「今、一番盛り上がっている動画・生放送」を横断的に紹介するのが特長だ。
トップページには、その瞬間に多くの人が見ている人気動画、ネット上の注目キーワードに関連する動画などがずらりと表示される。レコード会社によるミュージシャンの公式プロモーションビデオや、HIKAKINさんら人気ユーチューバーの投稿動画、官公庁の公式チャンネルが配信する会見映像など、種類はさまざまだ。
アカウントを作れば、ユーザーの行動や属性から好みにあった動画をおすすめしてもらうこともできる。
ただ、動画の管理には課題がありそうだ。J-CASTニュース記者がサイトを開いた際、トップページに一般視聴者が録画、投稿したと思われる、テレビのワイドショー番組の投稿が表示された。またサイト内でバラエティー番組のタイトルを検索すると、こちらも視聴者からの投稿動画が複数ヒットした。いずれもテレビ局の公式チャンネルが投稿した動画とは別のもので、著作権を侵害する違法投稿に当たる。
通報を受けて放置すると管理者責任が問われる
動画の管理はどうなっているのか。J-CASTニュースの取材に朝日新聞社からは、
「本社が違法または問題があると判断する動画が見つかった場合には、非表示にする対応を取ります」
とだけ回答があった。
IT分野に詳しいみずほ中央法律事務所の三平聡史弁護士によると、違法投稿の動画をサイト上に掲載してしまったとしても、すぐにサイト運営者が法的責任を問われるわけではなさそうだ。キュレーションサイトの場合、システムが自動で動画を拾ってくるため、運営者がずっとサイトを監視することはできないからだ。ただし、著作権者などから通報を受けた後の対応がポイントになるという。
「著作権法違反や肖像権の侵害などがある違法投稿について、法的責任は第一に動画投稿者が問われます。しかし運営者が違法投稿の通報を受けたにもかかわらず、いつまでも放置していたとすると、管理者として責任が生じる可能性があります」
法的責任はさておき、新聞など大手メディアは著作権について厳しい態度をとってきただけに、自社サイトでの違法動画の取り扱いは難題だ。